FP2級・FP3級の試験は、毎年1月・5月・9月の年3回実施されています。その試験に「きんざい」「日本FP協会」合わせて毎回何万人という受験者がチャレンジしています。
で、このFP2級・FP3級の試験は出題される範囲が非常に多く、ライフプランニング、リスクマネジメントなど、全部で6つの範囲から問われることになり、全体的に見て「広く・浅く」という知識を要求するような試験になっています。
年3回の本試験では、その6つの範囲から学科試験では満遍なく、実技試験では自分の選択した課目に応じて4~6つから出題されることになります。
そうなると、それらの範囲について漏らすことなく、どれもこれもしっかりと習得しておく必要がありますから、各科目に関しての知識が元々全くないという場合には、それなりに時間をかけて試験対策をしていく必要があります。
ここでは、FP2級・FP3級の試験で出題される6つの課目について「本試験で重要な部分」というか「どこを確実に押さえておくべきなのか?」ということについて、現在思いつく範囲で”ざっくり”まとめていこうと思います。
なお、この記事ではそれぞれの範囲について簡単にまとめるだけに留めますから、本試験までに覚えるべきことはここに記載した以外にもかなりの数があります。試験対策で使用しているテキストや問題集、その他ネットなどで収集した情報などと合わせて参考にしてください。
あと、FP2級の試験は誰でも受験できるというわけではなく、「一定の受験資格」を備えている必要があります。ただ、その「要件」のなかにはFP3級の合格も含まれています。3級から順番に受験するというのも良いかと思います。
Contents
ライフプランニングと資金計画
まず、ライフプランニングと資金計画の範囲から見ていくことにします。
この範囲では「ファイナンシャルプランナーと関連する士業に関連して、やっていいこととできないこと」を始めとして、個人バランスシートやキャッシュフロー表などを用いた問題、ローン等(住宅ローンと奨学金は重要)、そして「公的年金と社会保険」に関して出題されます。
このうち、公的年金と社会保険に関してはかなり覚えることが多く、それらの制度に関して数字や金額などの細かい部分までしっかり押さえておく必要があります。
特に公的年金に関しては老齢年金(基礎・厚生)の金額や、障碍年金・遺族年金などについても問われています。どれもややこしく、また、「併給調整」なども非常に覚え辛いため、テキスト等を用いて何度も確認すべきでしょう。
※これらについてここで全て記載すると大変なことになりますので、詳しくは以下の記事を参照してください↓
また、この範囲では「現価係数」「終価係数」…などといった6つの係数を用いた問題が出題される可能性があります。これらの係数はどれもややこしく、すぐには覚えることができないかもしれませんが、FP2級・FP3級の試験では重要なものになってきますので、本試験までに確実に暗記しておくことをお勧めします。
リスクマネジメント
FP2級・FP3級における「リスクマネジメント」の範囲では、民間の保険、すなわち生命保険や損害保険、第三分野の保険などに関して出題されます。
特にこれらの保険の「仕組み」に関してはしっかり押さえておく必要がありますので、「生命保険」「損害保険」「第三分野の保険」、それぞれがどのような仕組み・契約によって成り立っているかを確認しておくべきでしょう。
また、保険に関してはそこから生じる生命保険料控除や地震保険料控除などの税金関係の論点も出題される可能性があります。どのような場合に控除額がいくらになるのか?などを計算できるようにしておかなくてはなりません。
なお、これは主にFP2級やFP3級の実技試験である「保険顧客資産相談業務」での出題になるかと思いますが、「法人の保険契約」についても出題される可能性があります。
FP3級では「保険」以外の実技課目を選択し、そこからFP2級を受験するという場合には、「法人の保険契約」に関しては全く知らないという可能性があります。そのまま本試験に臨むことがないよう、一度しっかり確認した方が無難かと思います。
金融資産運用
FP2級・FP3級における「金融資産運用」の範囲では、投資判断に使うような経済指標から、預金や株式・債券への投資、投資信託の他、外貨建て金融商品やデリバティブ取引など、幅広い論点から出題されます。
また、近年「NISA制度」が拡充されてきていることにより、本則のNISAだけでなく「積立NISA」や「ジュニアNISA」についても、その制度内容をきっちり理解しておく必要がありそうです。
そして、FP2級の試験になると3級では紹介程度で済ませていたデリバティブ取引について、細かい部分まで出題されるようです。これについては割りと複雑で、一度テキストを読んだだけでは理解できないようなこともあるかもしれませんので、完全にわかるまで何度も確認しておくと良いでしょう。
もうひとつ、「消費者契約法」と「金融商品取引法」に関して、両者の違いなどについて出題があることも考えられますから、それぞれの適用範囲や内容について、混同しないよう注意しておくべきです。
タックスプランニング
「タックスプランニング」の範囲では、FP2級・FP3級ともに「所得税」に関する出題がメインとなり、それに地方税が加わり、また、FP2級の試験では「法人税」や「消費税」に関して、FP3級よりも出題の可能性が高まると考えられます。
FP技能検定のタックスプランニングにおけるメインコンテンツである「所得税」に関しては、「各種所得の計算」や「所得・税額控除の内容」、そして「青で申告した場合に得られる特典」などが重要になってきそうです。
また、所得の中で特に優遇されている「退職所得」に関して、その金額の計算方法、勤続期間による計算の違い(20年以下か20年超か)などをしっかり押さえていく必要がありそうです。
もちろん、その他の所得の計算方法(一時所得や短期/長期譲渡所得など)の計算も重要になってくるはずですから、本試験までには確実に全て押さえておくべきでしょう。
なお、個人的にFP2級・FP3級の試験における「タックスプランニング」の範囲は、他の範囲とのつながりが非常に強いのではないかと思っています。
リスクマネジメントにしても、不動産運用設計にしても、「税金」に関する出題は結構あるはずですから、もし、どの範囲も全く知識がない状態からFPの試験対策を始める場合には、まずタックスプランニングから手をつけていくのが良いのではないかと考えます。
不動産運用設計
「不動産運用設計」の範囲では、宅建試験で出題されるような「不動産の取引」に関する事項、「都市計画法・建築基準法・農地法」に関しての様々な事項の他、不動産に対する投資や、不動産の保有・売却にかかる税金などについて出題されます。
特に、「不動産を譲渡した場合の所得税の特例」については複雑な部分も多く、また、FP2級・FP3級の試験で出題頻度が高い論点であるはずですから、ここは確実に、時間をかけてでも押さえておくべきでしょう。
※「不動産にかかる税」についてはこのブログ内にいくつか記事があります。ただ、情報が古くなっている部分があるかもしれませんので、FP2級・FP3級の受験にあたっては国税庁のHPなどを用いてできる限り最新の情報を集めるようにお願いします。
また、「国土交通省・都道府県・国税庁・市町村」の4つの機関が公表する土地の価格については、これらを混同することがないようにしなくてはなりません。
それらの土地価格の「基準日」や「国土交通省が出す公示価格との比率」、そして「いつ公表されるのか?」など、ひとつひとつをテキストなどを参考に、何度も確認しておくと良いでしょう。
借地借家法の細かい規定も重要になってくるはずです。これに関しては契約の存続期間が何年なのか?とか、契約は書面や公正証書によるものでなくてはならないのか? などごちゃごちゃしていますが、テキストによっては図表を用いてわかりやすく解説しているはずです。
相続・事業承継
「相続・事業承継」の範囲では、主に相続税法(相続税と贈与税)、相続や贈与に関する法律の決まりなどが出題されます。
特に、「どのような場合に誰が法定相続人となるのか?」「この場合の法定相続分は?」などといった部分は重要になってくると考えられ、FP2級・FP3級の試験で頻出の「家系図を用いた問題」には確実に対応できるようにしておかなくてはなりません。
また、「小規模宅地等の評価減の特例」に関して、居住用なのか事業用なのか、それとも貸付事業用宅地なのか、それぞれによって適用される面積と評価減の割合が異なってきますので、これを混同してしまわないよう注意すべきでしょう。
そして、FP2級の試験になると「事業承継」に関する出題の可能性が高まります。FP3級から続けて受験する場合にはこの論点は初見かもしれません。テキストで押さえて問題集・過去問集で確認するのを繰り返し、本試験までには完璧にしておくべきでしょう。
ややこしい計算式も重要なものは全て覚えておくべき
FP2級・FP3級の試験における上記6つの範囲では、それぞれ法制度に関する知識が問われることになりますが、その「知識」の中には当然必要な数字や金額を求めるための計算式も含まれることになります。
FPの試験は出題範囲が広いだけあり、そのような「覚えておく必要がある計算式」もかなりの数があります。
なかには複雑であったり、その内容自体が馴染みのないものであったりして「覚え辛い」というようなものもあるかと思いますが、FP2級・FP3級の試験で「完全合格」するためにはどれも必要なものばかりです。
そのような「FPの試験を受験するにあたって覚えておくべき計算式」は、以前記事としてまとめたものがありますのでそちらを参考にしてください↓
テキスト等は優秀なものを
これからFP2級・FP3級の試験を受験するという方は、合格を目指して基本的には「テキスト」と「問題集」、その他過去問集等を使って試験対策を進めていくことかと思います。
もちろん、FP2級の受験資格も兼ねて「AFP認定研修」を受講し、プロの講師の方の指導を受ける、という受験者の方も居られるかとは思います。
しかし、FP2級までは全く知識がない状態からの独学でも十分に合格できる難易度ですから、「完全に独学」でテキスト等、市販のものを購入して試験対策を行う方が多いはずです。
で、そのような場合に知識の源泉となるテキストや問題集の選択を誤ると、一発どころか何度やっても合格することができない…などということになりかねません。
そうならないために、FP2級・FP3級の受験に際しては特にテキストの選択において十分に検討を重ね、自分に合っていると思うものを選択するべきでしょう。
参考までに僕が以前「FP2級」の試験を受験した際に使用していたテキスト・問題集・過去問集を紹介している記事がありますので、よろしければそちらもどうぞ↓
なお、FP3級の試験はそのひとつ前に受験しましたが、テキストはFP2級の試験対策で使用したものと同じシリーズのものを使用しました。FP3級に関しては難易度も低いため、問題集等を使用せずにテキストだけで合格できるはずです。
また、「今からFP3級を受験するが、今後FP2級まで取得する予定」という受験者の方は、どうせ同じ範囲からの出題なわけですから、最初からFP2級のテキストを購入して試験対策を進めていっても良いのではないか?と考えています。
法制度の改正に注意
ここまで、FP2級・FP3級の試験で問われる6つの範囲について、その内容などを簡単に、ざっくり確認してきました。もちろん本試験で出題されるのは上記の箇所ばかりではなく、全ての範囲から、幅広くその知識を求められることになります。
それらの確認のため、多くの方は基本となるテキスト・問題集に加えて公的機関のHPや、その他ネット上から情報を集めてこれを試験対策に活かしていこうとするのではないかと思います。
しかし、このブログ内にもあるかと思いますが、ネット上の記事でも紙媒体でも、その情報が「古いもの」である可能性があります。
FP2級・FP3級の試験内容は、法制度の改正とともに変化していきます、それゆえ同じ論点からの出題であっても正解となる数字が微妙に異なるという場合が考えられます。
そうなると、古い情報を参照して試験対策をしてしまった受験者の方はその箇所について得点できない可能性が高まり、それがいくつもあると「かなり勉強したはずなのに合格できない…」という結果に陥りかねません。
そのような事態を避けるため、FP2級・FP3級の試験のうち、自分が受験するものの「法令基準日」をしっかり確認し、改正以前の法制度に関する数字等に惑わされないようにしなくてはなりません。
また、テキスト・問題周到を選ぶ際にも「○○年度対応」という表記をみて、最新の試験に対応するものであるかどうかを確認するべきでしょう。
まとめ
今回はFP2級・FP3級の試験に関して、本試験までにどのようなところを押さえておくべきなのか?ということを、各範囲ごとに簡単にまとめてきました。
FP3級はもちろん、FP2級にしてもそこまで難易度が高いわけではありませんので、たとえ独学であってもある程度の勉強時間を確保することができさえすれば合格できるはずです。
次のFP技能検定はまだ受験申請期間が終わったばかり(2019年4月現在)ですが、ギリギリからではなく、早めに試験対策を始めることで、より一層合格の可能性が高まるはずです。
6つあるどの範囲も疎かにならないよう、時間をかけて勉強していくと良いのではないでしょうか?