FP2級・FP3級の試験は、昨年(2018年)の1月試験で終えることができ、現在はそこから先、「CFP資格審査試験」に向けて、まずは「不動産運用設計」の範囲から少しづつ試験対策を始めています。
さて、僕もFP技能検定受験前にそうだったように、最近やたらとFP(ファイナンシャルプランナー)という資格について、各種メディアなどで耳にするようになって来ました。
もちろん、自分が取得した資格ですので、「耳にする」に関しては何らかのバイアスがかかっている可能性は否めないかと思いますが、それでも以前に比べて「FPという資格」についての認知度は高まっているのではないでしょうか?
で、そうなってくると「3級だけでもちょっと取ってみようか…」「せっかくだし2級も…」という感じで、FP2級・FP3級の試験を受験する方が増えてきているのではないのか?と考えられます。
では、果たしてFP2級・FP3級(FP技能検定)の受験者数はどのように推移しているのか?今回は「資格の人気の尺度」のひとつともいえるであろうそれを見ていくことにします。
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実技試験は複数あるものの学科試験は共通
FP2級・FP3級の受験者数を見ていくにあたり、まず前提としてその試験の形式について触れておく必要があるかと思います。
FP2級とFP3級の試験は、どちらも毎年「1月・5月・9月」と、4カ月おきに3回実施されており、午前中に学科試験、午後に実技試験というかたちで、1日を通して試験を受けることになります。
そして、このうち「実技試験」に関しては、3級は3課目のうちから、2級は5課目から選択してひとつを受験することになっています。
また、このとき選んだ実技課目によって試験の実施団体が異なり、2級でも3級でも同じ「資産設計提案業務」を選択した場合には「日本FP協会」の、それ以外の課目の場合には「きんざい」の試験を受験することになります。
しかしながら、FP2級・FP3級ともに「学科試験」についてはどの実技課目を選択しても、また受験する団体にも影響されることなく「全受験者共通の問題」を解答することになります。
試験結果データを見ると、きんざいよりFP協会で受験する方が学科試験の合格率が高く、全く違う試験のように見えるようなこともありますが、受験者層の違いなど、様々な理由からそうなっているだけのようであり、試験内容自体には特に違いはありません。
となると、「FP技能検定の受験者数」ということを考えるうえでは試験実施団体や課目選択に影響されない「学科試験」について調べていく方が楽そうです。従って、ここから先の「受験者数推移」などは、すべて学科試験の受験者数をもとにしていきます。
なお、FP2級の受験には「FP3級合格」を含むいくつかの受験資格のうち、少なくとも一つを満たしている必要があります。
FP2級・FP3級 「学科試験」の受験者数の推移
では、ここからFP2級・FP3級試験、それぞれの学科試験について2013年5月以降に実施されたものの受験者数をみていこうと思います。
「2013年5月以降」としたのは、日本FP協会のHPではそれ以前の実施回の試験結果データが閲覧できるのに対し、きんざいではそこを最後にデータが掲載されていないためです。
FP2級 学科試験受験者数
試験実施回 | きんざい受験者数(人) | FP協会受験者数(人) | 合計(人) |
2019年1月 | 36,174 | 22,076 | 58,250 |
2018年9月 | 31,808 | 19,118 | 50,926 |
5月 | 31,074 | 17,410 | 48,484 |
1月 | 39,614 | 20,826 | 60,440 |
2017年9月 | 35,556 | 18,994 | 54,550 |
5月 | 35,047 | 18,015 | 53,062 |
1月 | 40,855 | 21,626 | 62,481 |
2016年9月 | 35,022 | 18,504 | 53,526 |
5月 | 34,304 | 17,063 | 51,367 |
1月 | 38,336 | 19,222 | 57,558 |
2015年9月 | 35,972 | 16,492 | 52,464 |
5月 | 34,230 | 16,043 | 50,273 |
1月 | 40,148 | 17,760 | 57,908 |
2014年9月 | 34,979 | 16,015 | 50,994 |
5月 | 35,454 | 14,557 | 50,011 |
1月 | 43,710 | 15,683 | 59,393 |
2013年9月 | 39,898 | 14,214 | 54,112 |
5月 | 41,724 | 13,509 | 55,233 |
※参考:金融財政事情研究会HP「【種目別試験結果】ファイナンシャル・プランニング」及び日本FP協会HP「FP技能士の取得者数及び試験結果データ」
FP2級の方は全体的に見てもあまり変わっている印象はありません。2018年の5月試験で一度5万人を割り込んだ以外は、大体5万~6万人ちょっとの間で推移しています。
よくみると「きんざい」の受験者数はほとんど変化していないか、むしろ若干減少傾向ともとれるのに対し、「日本FP協会」のそれは少しづつ増加しているようにも見えます。
そして、1月試験だけやけに受験者数が多くなっているのが印象的ですが、おそらく卒業直前の大学生がまとめて受験していたりということがあるのでしょう。新生活に向けて、「どうせならここで取得しておこう」とか、「来年以降必要になるから先に取得しておこう」ということではないかと思います。
続いて、FP3級の試験についても学科試験の受験者数を見ていきます。
FP3級 学科試験受験者数
試験実施回 | きんざい受験者数(人) | FP協会受験者数(人) | 合計(人) |
2019年1月 | 26,256 | 23,270 | 49,526 |
2018年9月 | 25,297 | 19,887 | 45,184 |
5月 | 22,070 | 16,405 | 38,475 |
1月 | 30,692 | 17,191 | 47,883 |
2017年9月 | 32,635 | 17,902 | 50,537 |
5月 | 29,734 | 15,609 | 45,343 |
1月 | 34,856 | 19,165 | 54,021 |
2016年9月 | 32,948 | 16,922 | 49,870 |
5月 | 26,288 | 14,036 | 40,324 |
1月 | 30,455 | 16,538 | 46,993 |
2015年9月 | 28,438 | 13,622 | 42,060 |
5月 | 21,079 | 9,778 | 30,857 |
1月 | 26,933 | 13,163 | 40,156 |
2014年9月 | 28,772 | 12,925 | 41,697 |
5月 | 22,495 | 10,118 | 32,613 |
1月 | 30,212 | 9,826 | 40038 |
2013年9月 | 30,850 | 11,602 | 42,457 |
5月 | 25,897 | 8,550 | 34,447 |
※参考:前掲
こちらもトータルではさほど変わっていない印象ですが、2級と比べると全体的に受験者の数は増加している雰囲気です。
そして、こちらもFP2級と同様に「日本FP協会」での受験者数が増加しているようです。2級とは異なり、FP3級に関してはその傾向がかなり顕著ですし、全体の増加のほとんどがこの「FP協会での受験者増」によるものと見てよさそうです。
また、こちらも「1月試験」が他の実施回に比べて若干多めの受験者数になっています。おそらく2級と同じ理由なのではないかと思われますが。
全体的にみるとFP2級も・FP3級もほとんど変化がないものの…
上記のデータからわかるのは、FP2級・FP3級ともに、学科試験の受験者数をトータルで見た場合には、FP2級は横ばいでFP3級は微増と、ここ5年ほどでそこまで変化しているものではないということです。
しかし、どちらの試験でも「日本FP協会」での受験者数に関してだけは上昇傾向、しかもFP3級の試験ではデータを見てすぐにわかるほどの増加率です。
一体ここにはどんな理由があるというのでしょうか?FP2級・FP3級の学科試験は全受験者共通のものですから、どちらの試験実施団体を選択して何かが変わるということはありません。
もちろん実技試験の選択で「資産設計提案業務」の人気が高まっているということも考えられますが、特にそうなる理由が見当たりません。たまたま試験会場が近いから、というのもなさそうですし、何か別の原因があるはずです。
日本FP協会での受験者数が増えているのはどういう理由なのか?
FP技能検定”全体”での受験者数に関してはそこまで際立った増加は見られないものの、「日本FP協会での受験者」に限定した場合には、特にFP3級の試験においてかなりの増加が見られることがわかりました。
ここからは”そのようになった理由”と、そのことは「FP技能検定の人気度」を考えるうえでどのような意味を持っているのか、について考えていこうと思います。
まず、このブログでも度々触れているように、金融機関や保険業の関係者などが「きんざい」で団体受験するのに対して、「日本FP協会」では個人単位での受験者が多くなっているといえるのではないでしょうか?
となると、特にFP3級の試験における受験者数の伸びは、主に「ファイナンシャルプランナーの資格に興味を持った一般の受験者」の増加によるものと考えても良いのではないかと思います。
もちろん、「きんざい」の受験者にも個人単位で受験している方が居られるはずですし、反対に「日本FP協会」でも団体受験の企業など等からの受験者が一定数含まれているはずです。
しかし、全体的な傾向としての「日本FP協会の試験における受験者増」というのは、僕自身もかつてそうであったように、もともとFPの業務とさほど関係のない受験者が資格取得のメリット等に興味を持って受験し始めている結果といえるのではないでしょうか?
ファイナンシャルプランナーの資格人気は高まっているといえるのか?
FP技能検定は、これまで金融機関やその他の「FPの業務に関連した」職業の方が取得していた資格であったものが、近年、特にFP3級において一般の方が「自分の家計管理のため」などといった理由で取得しはじめているのではないかという印象です。
このことは、「資格自体の人気が高まっている」というよりも「FP技能士という資格が一般化してきている」と考えるのが妥当なんじゃないかと思います。
そしてその結果として、全体的にみればさほど受験者数が変化しないものの、特にFP3級において「日本FP協会での個人受験者」が増加し、それに応じて「銀行や保険会社以外」の場所での「FP技能士の資格保有者」というのが増加しているのではないでしょうか?
それを「人気が高まっている」といえるのか?というあたりはちょっと微妙な気もしますが、少なくとも「もともとFPなんか関係ないし知らない…」という層が資格の存在を認知し、興味を持って受験するに至った、というケースが増えているという可能性が高いといえそうです。
つまり今後もこの傾向が続く場合には、「FPの業務に特に関係のない一般人」であっても、ファイナンシャルプランナー(特に3級)の資格を得て「お金に関する最低限の知識」を持っているというパターンが多くなるのではないかと思います。
また、そういった方々が友人や知り合いなどにその知識を伝えることによって「FP技能検定」や「ファイナンシャルプランナーの資格」についての認知度は益々高まってくるでしょうし、現在もその現象が進行中であると考えてよさそうです。
そして、認知度が高まれば「受験してみよう」と考える人数もそれだけ多くなるわけですから、この「FP技能検定」の資格の人気は現在上昇傾向にあると考えるのが妥当なんじゃないかと思います。
まとめ
今回はFP2級・FP3級の試験の受験者数の推移についてみてきました。
FP(ファイナンシャルプランナー)に関しては、最近各種メディアでのコマーシャルなどをよく見たりするようになってきました。そのため、さぞかし受験者数も急増しているであろうと考えていました。
しかしながら、実際のところFP2級・FP3級とも受験者数ににそこまで際立った変化はないようでした。
とはいうものの、特にFP3級の試験において「日本FP協会」での受験者が増加傾向にあり、資格そのものが一般的に認知されはじめ、特に仕事で必要というわけではなく、”自分のため”にFPの資格を取得しているような方が増えているのではないかという印象です。
「FPの業務」というものに、普段全くかかわりのない方であっても、「FP3級」であればそこまで難易度が高いわけではなく、気軽に取得することが可能です。また、それに続けてFP2級を受験する場合であっても、ある程度勉強すれば十分に独学で合格できます。
もし、現在FP技能検定を受験しようか迷っているという方が居られましたら、この先の生活のためにも、最低限のお金の知識を得るべく、勉強・受験しておくべきでしょう。