FP2級 試験実施団体別の「合格率の違い」について考えてみた

FP2級(2級FP技能検定)の試験は、毎年1月・5月・3月の年3回、FP3級の試験と同時に実施され、午前中に学科試験、午後は実技試験というスケジュール、そしてその試験実施団体は「きんざい」と「日本FP協会」の2つとなっています。

この2つある試験実施団体のどちらで試験を受験するのか?これについては団体ごとに「実技試験」の課目が異なり、自分の受験したい実技課目を持っている団体の方を選択するのが通常です(3級も同様)。

で、FP2級の実技試験は5つの課目に分かれており、その中から自分の受験したいものを任意に選択していくことになります。一方、「学科試験」は選択した実技課目及び試験実施団体にかかわらず、”全ての受験者”が共通の問題を解き、合格となる基準点も全く同じとなっています。

つまり、課目ごと、試験実施団体ごとに実技試験の難易度や合格率が異なる可能性があるのと同時に、本来であれば学科試験ではきんざいと日本FP協会の発表する「試験結果」における合格率はかなり近い数字になってくるはずです。

しかし、実際にはこの「FP2級 学科試験」の合格率は、きんざいの試験結果でより低く、日本FP協会の試験結果でより高くなっています。

この理由について、今までは単純に「受験者層の違いによるものだろう…」などと考えていました。そしてそのことは明らかに真であると考えています。しかし、そうだとしても”毎回あまりにも差がありすぎる”結果となっています。

これは少し考えてみないといけない…と思い、今回はなぜFP2級の試験において「きんざい」と「日本FP協会」の合格率に大きな差があるのか?受験者層の違いとは何なのか?について勝手に考察してみました。

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FP2級の合格率における「きんざい」と「FP協会」の差

FP2級の試験では、実技試験については各課目ごとの出題が違うためそれぞれバラバラの合格率になっています。しかし、同じ問題を「きんざい」と「日本FP協会」の2つの実施団体に分かれて受験するだけの学科試験においても、両断体感で大きな合格率の差があります。

参考までに、2018年9月のFP2級 学科試験の合格率を見比べて見ます↓

FP2級 学科試験合格率(2018年9月試験)

きんざい:21.45%

日本FP協会:39.47%

金融財政事情研究会HPおよび日本FP協会HP

ここでは1回のみの比較となりますが、2018年の9月試験においては、学科試験の合格率が両者で倍近い差になっていることがわかります。

また、それ以前の試験でも基本的に学科試験の合格率は「日本FP協会」の方がかなり高くなっていますので、気になる方は2つの団体のHPから、毎回の試験の合格率の差を確認してみると良いでしょう。

受験者層の違いがあることは明らかだが、どこがどう違うのか?

さて、全受験者が共通の問題を解いているはずの「FP2級 学科試験」ですが、その合格率が試験実施団体ごとに大きく異なるのは上記の通りです。

しかし、FP2級の試験を「きんざい」で受験した方が”不思議な力”で不合格にされていたり、逆に「日本FP協会」で受験した方が合格にされていたりなどということはありえません。

そもそもFP2級の学科試験は「マークシート形式」で実施されます。それゆえ、試験後の自己採点によって各自得点も合否もほぼ確実にわかるわけですから、そんな事案が発生しているようであれば既に大問題となっていることでしょう。

となると、やはりそもそも「きんざい」と「日本FP協会」の両試験実施団体において、そこでFP2級の試験を受験している受験者の”層”には、確実に大きな違いがあるといえるのではないでしょうか?

では、いったいどこにそんな違いがあるのでしょうか?一般的な受験者は受験の申し込みをインターネット申請で済ませているものかと思いますので、「FP2級」でネット検索した場合に、どちらかの団体のHPを見落とし、一方の存在を知らないまま一方で受験するなどということはありえません。

というかそもそも「試験対策」をしている時点で実技試験に関してテキスト等での説明があるでしょうから、いざ受験申請の段階になって「2つの団体が試験を実施している」ということを知らない、ということも考えにくいでしょう。

そこで気になるのが、以前から思っていた「金融機関などはきんざいで団体受験することの方が多いのではないか?」ということと、もうひとつ「AFP認定研修経由で受験する場合には日本FP協会を選択しがちなのではないか?」ということです。

以下、それらについてちょっと考えてみました。

学科試験の合格率の違いは「AFP認定研修」の受講率?

FP2級の試験は3級とは異なり、誰でも受験できるというわけではありません。当該試験の受験のためには一定の受験資格(全4種類)を満たしている必要があり、その中のひとつに「AFP認定研修の修了」というものがあります。

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そしてその場合には、後に「日本FP協会」へ入会することを意識しての課目選択(実技試験)となりますから、必然的に日本FP協会の実施する「資産設計提案業務」を選ぶ方が多くなってくるのではないかと予想します。

で、「AFP認定研修」を受講せず、つまり独学の状態で試験に臨んだ場合よりも、そのほとんどが通信教育とはいえプロの講師の指導を受け、効率的な試験対策をした受験者の方が合格に至る可能性は高いのではないでしょうか?

FP2級の試験はゼロから独学で勉強しても十分に合格することができるものです。しかし、それにはある程度の期間(時間)を試験対策に費やし、合格できるレベルの知識を”自力で”身につけていく必要があります。

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それは「先にAFP認定研修を受講している」場合の試験対策に必要な期間よりも当然長く、本試験からあまり時間が残されていない状態から独学で勉強を進めて言った場合には「間に合わない」可能性があります。

一方で、AFP認定研修を受講し、そこでプロの指導を受けている受験者は、勉強の効率も非常に良く、かなり短期間であったとしてもほぼ確実に合格ラインを超える実力を得ているのではないかと思います。

そういった方々が”流れ”で日本FP協会の試験を選択することで、そちらに「レベルの高い」受験者が集まり、必然的に合格率も高くなってくるのではないのか?と予想します。

「きんざい」の受験者はFPの資格取得にメリットを感じていないのかも…

FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取得したところで、とくにこれといって「できることが増える」とか「独占業務がある」とかいったことはなく、ただ単に「FPの試験に合格した人」という扱いです。

そのため、僕もそうですが「FPの資格だけでなく、関連する他の資格も取得して後々役立てていきたい」と考えることはあっても、「FPの資格を取得しただけ」で何かに使っていこうと思うことはあまりないのではないでしょうか?

もちろん、FP2級だけでもなにか斬新なことをやったり、かなり深い知識を追加的に身につけることができさえすれば何か「FP単体」での利用の糸口が見つかるのかもしれません。

しかし、FP2級を「きんざい」で受験した方の一定数は、金融機関や保険会社などの職員で、団体受験で強制的に受験させられているというパターンなのではないでしょうか?特に「金融機関⇔きんざい」はかなり関係が深そうですし…

そして、これについては実際にどうなってくるのかわかりませんが、おそらく金融機関や保険会社の職員の方は、FP2級の資格を単体で取得したとしても「名札等に”FP”って書かれる」ぐらいの効果しかないと思います。

もしFP2級の試験に合格できなかったとしても、実務上困ることはさほどないのかもしれません。似たような他の資格や検定もありそうですし、FP2級までの場合は年3回も試験があるため、「そのうち合格すればいいや~」ぐらいに思ってしまうかもしれません。

で、そういった場合、単体では特に効果を発揮することがないFPの資格に対して、全力で勉強してくることもなく、最悪ノー勉で本試験に挑んでくることすら考えられます。もちろん、”不合格”になると立場が危ういような方は別だと思いますが、本試験当日に至ってもなお「やる気ない…」という方もかなり居られるでしょう。

そしてこのことが、「きんざい」でFP2級の試験を受験した場合の合格率を引き下げている要因のひとつになっているのではないでしょうか?

まとめ

今回はFP2級の試験において、なぜきんざいと日本FP協会の合格率がここまで違ってくるのか?ということについて考えてみました。

これまでも2つの団体に合格率の違いがあることは認識していましたが、「なぜそのようなことになっているのか?」ということについては深く考えず、単純に受験者層が違うだけだろう、と考えていました。

そして、完全に個人の予想になってしまいますが↓

  • よりレベルの高い「 AFP認定研修修了者」が流れで「日本FP協会」の試験に集中してしまうのではないか?
  • 「きんざい」で団体受験している受験者の一定割合が、そもそもFPの資格を取得することになんらメリットを感じていないのではないか?

という原因が考えられました。もちろん他にも様々な理由があるかとは思いますが、現時点で思い浮かぶのはこのぐらいでした。

そして、絶対に忘れてはならないのが「学科試験は全受験者共通である」ということです。

もし、本当は実技試験を「生保」で受験したいのに、日本FP協会の方が学科の合格率が高いからそっちで…などということをしてしまうと、なんの得もなくただ損だけしてしまうことになります。

これからFP2級の試験を受験する方は、なぜか存在するこの合格率の違いに惑わされることなく、自分に合った課目と試験実施団体を選択していくべきであると思います。

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