FP2級「実技試験」個人資産相談業務(きんざい)過去問の分析

以前の記事でも触れたように、FP2級の実技試験はFP協会1科目、金財4科目の合計5科目の中から選択して受験することができ、その受験者数の割合はFP協会の資産設計提案業務が最も多く、次いで金財の個人資産相談業務となっています。

※FP2級 実技試験の科目選択に関しては以下の記事から↓
5種類あるFP2級の実技試験 選ぶならどれ?合格率は?

いつもはこの間自分が受験したFP協会の話ばっかりなんですが、今回はちょっとアンテナを広げて、人気第2位の「個人資産相談業務」について、公表されている過去問を参考に見ていきたいと思います。

※過去問は以下のサイトで公開されています↓
金融財政事情研究会HP

で、個人資産相談業務における問題の構成は、記述式で5問となっています。よってここでは各問題ごとに分けて出題の傾向と対策を確認していくことにします。

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Contents

第1問 ライフプランニングと資金計画

過去5回の試験を見たところ、大問1の「資料」では必ず「Aさん」(またはその家族の分も)の公的年金の加入暦が表となって記載されていました。内容としてはずっと厚生年金だったり国民年金だったり、途中で入れ替わっていたりと様々です。また、当然ですが家族のステータスも被扶養者だったり会社員だったりとバラバラです。

で、それに対する設問として、「Aさんが現時点で死亡した場合の遺族年金」や「退職後の年金」などといったものが問われています。それぞれの年金受給金額の計算式は覚えておく他ないでしょう。ただし、厚生年金の「7.125/1,000」と「5.481/1,000」というややこしい数字については、どの回でも数字が所与となっていました。中高齢寡婦加算や加給年金なども「要件を満たしている場合のみ加算すること」として加算額が記載されていました。

その他問われていたことは、

  • 公的医療保険制度について
  • 退職金を運用する場合について(6つの係数)
  • 小規模企業共済について

などとなっていました。Aさんの年齢が若いときには、Aさんの妻「Bさん」の産前産後休暇について問われていましたね。それと資産運用について「6つの係数」も確実にしておいた方がいいかと…

※FP検定で出題される「6つの係数」については以下の記事から↓
FP試験対策 混乱しがちな6つの係数

第2問 金融資産運用

個人資産相談業務を選択した場合、「リスクマネジメント」が範囲外であるため、第2問は「金融資産運用」の項目からの出題となっているようです。資料および各設問で問われていた内容は、ほとんどが「NISA(ジュニアNISA含む)」と「投資信託」となっていましたが、2018年1月の試験では「社債」と「外貨預金」について、2017年5月の試験では「株式」が入っていました。

ここでは、必ず1問は計算をしなくてはならないようで、出題内容は

  • 運用利回りの計算
  • 譲渡時の所得と税額の計算
  • PERやPBRなどといった指標
  • ドルコスト平均法
  • 投資信託のパフォーマンス(シャープレシオとか)

というようになっていました。正直この範囲では計算式がたくさんあるので、どれが出てもいいようにテキストなどでしっかり確認しておく必要があるでしょう。

また、NISAの制度がどんどん拡充されていることから、それを狙った問題が多くなるんじゃないかと(勝手に)予想しています。

※NISAについては以下の記事から↓
投資と税金 NISAの概要と対象の金融商品

第3問 タックスプランニング

第3問はタックスプランニングからの出題になっています。試験の名称に「個人」と入っていることから、過去5回分のどの問題でも「Aさん」個人に係る内容でした。

参考資料として示されていたもののパターンとしては、

  • 退職金を貰った段階
  • 退職して事業を始める(青色)
  • 個人事業主(青色)で妻が専従者
  • 不動産所得の赤字がある
  • 株の譲渡損が出ている
  • 住宅ローンを組んでいる
  • 保険を解約して返戻金などがある

というような感じでした。不動産所得に係る赤字がある場合には、それが土地等の利子分かどうかをよく読まないと、最終的な所得の金額が違ってきてしまいますね…青色申告する個人事業主で誰かが専従者の場合にも、うっかり扶養に入れて計算してしまわないように注意ですね。

それと大体一人は扶養になる家族がいるようですが、年齢が微妙で控除額を間違えそうとか、そもそも16歳未満だったりと、ちゃんと確認しないとやらかしそうなところが満載でした。

あと、税額や給与所得控除などの速算表については、使う場合は最後にまとめて記載されている感じでした。見落とさないようにしなくてはなりません。

第4問 不動産

第4問では不動産についての出題となっています。ぱっと見だとやはり建物の図表が参考資料に記載されていて、「建築基準法」に基づいて解答する問題が多いようです。しかしどの回でもそれ単体の出題ではなく、不動産登記や借地借家法などに関する問題が入っていたり、場合によっては建築基準法は無しという回もありました。

とはいえまず最初に押さえるべきは、「建ぺい率」や「容積率」などの計算方法であることは間違いないかと思います。次いで、居住用財産の譲渡所得にかかる特例や不動産の取得、保有に係る各種税金などについて押さえていく感じでしょうか?不動産登記については学科の方で散々ひっかけ問題を見せられているため、意外と何とかなってきそうだと思っています。

※不動産の譲渡時に適用可能な特例については以下の記事から↓
居住用財産を譲渡したときの特例①~譲渡益がある場合~

居住用財産を譲渡したときの特例②~損失が出た場合~

第5問 相続税・贈与税

最後、第5問は相続税・贈与税についての出題となっていました。ここでは過去5回分のどれを見ても「親族関係図」が資料に記載されていて、それをもとに解答していくような感じでした。

具体的に問われていたのは、

  • 相続の手続きに関して(10ヶ月以内とか)
  • 相続の放棄
  • 遺産に係る基礎控除の計算
  • 遺留分減殺請求
  • 贈与税の配偶者控除
  • 教育資金の贈与税非課税

などとなっていましたが、2018年1月の試験だけ、全問「相続時精算課税」に関する事項からの出題でした。相続時精算課税になってくると内容がガラッと変わってきてしまうため、今後また出題されてもいいように、普通の相続・贈与の流れと併せて確認しておいた方が無難でしょう。ただ、正直言ってあんまり実際に使える制度かどうかというと?なんですが・・・

※相続時精算課税については以下の記事から↓
相続税・贈与税 相続時精算課税に潜む恐怖

まとめ

今回はいつもと趣向を変えて「金財」の方の実技試験、「個人資産相談業務」について確認してきました。FP協会で受験できる資産設計提案業務と違い、問題数が少ないため、ひとつやらかすと大変なことになりそうなイメージです。

ただ、出題される内容はある程度パターン化されているようなので、問題集や過去問をきっちりやっておくことによって、かなり対応できるんじゃないかとも思いました。

※今使ってる過去問集の感想↓
FP試験対策 FP2級の過去問を購入、内容と感想など

※問題集の感想↓
FP試験対策 FP2級の問題集を購入してみて、感想など

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