投資と税金 NISAの概要と対象の金融商品

「投資で儲かったら税金がかかる」
これは今まででは普通の考え方でした。
とはいえ儲けた分が全部持っていかれるということではなく、
現行の所得税制において、金融商品の保有や売買によって得た利益に対しては
原則20.315%(所得税15.315%+地方税5%)の比例税率によって課税されます。
この税率は決して高いとはいえません。
超過累進税率によって課税されるその他の所得に対しては最高45%(控除額もありますが)の税率であるのに対して、株の譲渡や配当によって儲けた金額にはそんなに高い税率は適用されません。
もちろん、あんまり儲かっていなければ総合課税されるものよりたくさん取られることになってしまいますが…

儲ければ儲けるほど他の所得よりも有利になる投資ではありますが、
元来日本人は貯蓄が大好きな民族であるようで、一般の家計から投資に振り向けられる金額の割合は非常に低いものでした。しかし、政府としては、
「もっと投資をしてほしい、民間の投資が経済の活性化につながってほしい」
という考えでした。
誰しも、「貯蓄から投資へ」というスローガンめいた言葉を聞いたことがあるかと思います。
政治屋さんや専門家さんたちは必死でした。
なんせ”国民性”を押しのけて余剰資金を投資に振り向けてもらう必要があったのですから。

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イギリスから来たNISA(少額投資非課税制度)

さてどうしたものか…というところで白羽の矢が立ったのが、
イギリスで導入されていた「ISA」なる非課税制度でした。
※以下、日本証券業協会によるISAに関する報告です↓
日本証券業協会(2012)『英国のISAの実施状況等について』
(pdfファイル)

で、こいつの日本版を導入しようということになり、
「Nippon版ISA」⇒「NISA」が創設されることになりました。

そして、平成26年に「普通のNISA」が始まったのを皮切りに、
平成28年には「ジュニアNISA」が追加され、
平成30年には「積立NISA」の開始が予定されています。

NISAのはじめ方

3種類(2017年12月現在は2種類)あるNISAの制度ですが、
証券会社に口座があれば適用されるというわけではありません。
ちゃんとNISAの口座作ります!って言って、
マイナンバーや住民票などの本人確認を済ませなくてはなりません。

ちなみに僕はまだ口座を作っていませんが、
証券会社としても気合を入れてお勧めしているコンテンツであるはずですので、
HPのわかりやすいところに開設手続きに進むところがあるんじゃないかと思います。
ちなみにSBI証券のHPではいろんな取引に進むタブの一番上に表示がありました。
1x1.trans - 投資と税金 NISAの概要と対象の金融商品

このように、NISAに関しては証券会社からのアピールも強いはずです。
口座の開設に関しては、本人確認書類の不備に悩まされることさえなければすぐに何とかなると思います。

ただし、普通の”NISA”と”積立NISA”は選択制となっており、
二兎を追うことはできないようになっているので、注意が必要です。
あと、シニアの場合はジュニアNISAは使えません。

それぞれの”NISA”の概要と対象の金融商品

一口にNISAといっても、3種類あるそれぞれにおいて
「投資可能な金額」や「対象年齢」なんかが変わってきます。
以下では、それぞれの制度について、制度の対象となる所得も併せて見ていきたいと思います。

NISA

対象者:20歳以上の国内居住者
対象の所得:株式、投資信託等への投資から得られる配当、分配、譲渡益
非課税枠:新規投資で毎年120万円(最大600万円)
非課税期間:最長5年間

非課税枠については2015年以前は100万円までとなっていましたが、
2016年から120万円に拡大されました。
これにより5回分の累積非課税枠も500万円⇒600万円となりました。

対象となる金融商品についてですが、
株や投信の配当や分配、譲渡益に限られているため、
公社債なんかの利息については対象にできず、
そういった商品をNISAに組み込むことはできません。

ジュニアNISA

対象者:19歳までの国内居住者
対象の所得:株式、投資信託等への投資から得られる配当、分配、譲渡益
非課税枠:新規投資で毎年80万円
非課税期間:最長5年間

普通のNISAとほとんど変わりませんが、
新規投資金額の限度が80万円になっています。
ちょうどNISAの2/3の金額ですね。

さらにジュニアNISAにはもうひとつ大きな特徴があります。
それは「18歳までは払い出し制限がある」ということです。
ただし災害等でやむをえない場合はOKだそうです。

積立NISA

対象者:20歳以上の国内居住者
対象の所得:一定の投資信託への投資によって得た分配、譲渡益
非課税枠:新規投資で毎年40万円(最大で800万円)
非課税期間:最長20年間

制度の対象となる「一定の投資信託」とは、
「長期の積立、分散投資に適したもの」となっていましたが、
金融庁のこのページから対象商品一覧のpdfファイルを見ることができます。
個別の商品で見ると大量にあるため、自分が買いたい投資信託が対象になるかを調べようと思ったら大変です。
これについては証券会社のHPから確認した方が速そうです…

ただ、この積立NISAは運用開始が2018年1月からとなっていますので、
まだどんな感じになるのかわかりません。
実際に始まって改善の余地が見つかれば徐々に変化していくんじゃないでしょうか。

まとめ

今日は、民間の余剰資金を投資に振り向かせるべく始まったNISAについてでした。
少額の投資に対する課税をなくすことで、「よりはじめ易く」なるということなんでしょう。
しかし、せっかく始まった制度ですから今後もバージョンアップさせていき、
より日本人向けの制度として確立していってもらいたいと思います。
間違っても、改悪を重ねて「金持ち優遇税制」の片棒を担ぐようなことにはならないようお願いします。

参考:金融庁HP NISA特設ウェブサイト

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