「役に立つ」とされる資格は様々なものがありますが、せっかくそのような資格試験に合格したら、就職・転職や進学など自分にメリットのある”何か”に利用していきたいと考えるはずです。
そして、その資格を取得したこと、保有していることを誰かにアピールするためには、保有の事実や取得した年月を「履歴書」に記載してどこかに提出するということをしなくてはならない場合も多いと思います。
しかし、例えば「日商簿記2級・日商簿記3級」や「FP」「宅建」などと、世間一般で通用しそうな「資格の通称」については知っているものの、その資格に関して「履歴書に書くための正式名称」というのはわからない、聞いたこともない、ということもあるかと思います。
もちろん、履歴書の資格記入欄であっても、必ず正式な名称でなくてはならないということはないはずで、「一般的な呼称」であってもそれを見る人間に十分伝わるようなものであれば大丈夫ではないかとも思います。
ただ、せっかく合格した資格試験や検定ですから、できることならしっかりした名称で記載していきたいはずですし、その方が印象が良くなるということも、もしかしたらあるのかもしれません。
ということで今回は、僕自身が以前合格したものや、自分では持っていなくとも多くの人が取得しているであろういくつかの資格について、その「履歴書に書くための名称」を確認していくことにします。
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履歴書に必要な資格の正式名称
それでは、実際にいくつかの資格試験・検定について、履歴書等の文書に記入すべき名称を見ていくことにします↓
日商簿記
まずは「日商簿記検定」から、日商簿記検定に合格している、という場合大体の方が「日商簿記2級」ないし「日商簿記3級」であり、1級まで取得したという方はかなり少ないのではないかと思います。
で、この日商簿記について手元にあった合格証書を確認したところ、以下のような記載がありました↓
商工会議所第141回簿記検定試験において頭書の級に合格したことを証する
平成27年11月15日…
日商簿記検定2級 合格証書より
ここからわかるのは、商工会議所の主催するこの有名な簿記検定の名称は「商工会議所簿記検定」であり、普段はそれを短縮して「日商簿記」と呼称しているということです。
まぁ、履歴書等にこれについて記載するときには「第○○回」の部分を省いても構わないかと思いますので、それを除いてあとは自分の取得した「級」がどれなのかを示すべきでしょう。
よって、日商簿記の資格を持っている場合には履歴書に↓
「日本商工会議所簿記検定○級」
と記載するのが妥当といえるでしょう。
全商簿記
商業高校などを卒業された方は、一般的な日商簿記ではなく「全商簿記」を学校で受験した、というようなことが多いのではないかと思います。
この検定は同じ簿記に関するものでありつつも、一般的な「日商簿記」とは異なり、「全国商業高等学校協会」が実施している試験であり、試験自体の内容についても少し異なってくるはずです。
そして、これは僕自身が受験したものではないため、手元に何らかの書類があるわけではありません。しかし、「全国商業高等学校協会」のHPから見ることができる「簿記検定の試験規則(pdfファイル)」では以下のような名称が使われています↓
「公益財団法人全国商業高等学校協会 主催 簿記実務検定試験」
ということで、この「全商簿記」の検定を持っている場合には↓
「全国商業高等学校協会主催簿記実務検定○級」
というように記載すべきでしょう。おそらく「公益財団法人」の部分は省いて構わないはずです。
FP技能検定・AFP・CFP
ファイナンシャルプランナーの資格には、FP2級などの国家資格に該当するものと、AFP・CFPという2つの民間資格があります。
FP1級に関しては日商簿記と同様、そこまで取得している方はかなり少ないものと思われますが、履歴書に各場合でも基本的には2級までと同じと考えてよいでしょう。
ここでは、国家資格である「FP技能検定」と民間資格である「AFP・CFP」に分けて見ていきたいと思います。
FP技能検定
まずはFP2級・FP3級などのFP技能検定に合格している場合ですが、この試験は日本FP協会ときんざいの2つの団体が試験を実施していますので、「○○主催」ということを書く必要はないはずです。
そうなると、試験の正式名称である「ファイナンシャル・プランニング技能検定」に自分の取得した「級」をつけて示すことになります。また、FP技能検定の合格者は「技能士」ということになります。
よって「FP技能検定」に合格している場合には↓
「○級ファイナンシャルプランニング技能士」
という名称でいくべきでしょう。
なお、これについては「きんざい」のHPで名刺などに表記する場合の方法が示されていました↓
金融財政事情研究会HP「技能士資格の表示方法について(名刺等への表記)」
厚生労働省による指導に基づき、名刺に技能士の資格を表示する場合は、「等級」「正式職種名」「技能士」の順で表示することとされています。
で、履歴書の場合でもこれに準拠してやっていけばまず間違いはないと思いますから、上記にリンクを貼ったページの「可の例・不可の例」を良く見て、最もよいと思えるものを選択するという手もありそうです。
AFPまたはCFP
AFPとCFPは、FP技能検定のような国家資格というわけではなく、AFPは「日本FP協会」から認定を受ける民間の資格であり、CFPに関しては何か世界的なアレだそうです。
僕は現在AFPまで取得し終えてこの先「CFP資格審査試験」も受験していくことにしていますが、手元にあったAFPの認定証には「FP協会が認定するアフィリエイテッドファイナンシャルプランナー(AFP)であることを証します」ということだけが書かれていました。
で、これらの資格に関しては「日本FP協会」に認定されているものですから、
「日本FP協会認定AFP・CFP」
と記載していくのが妥当かと思います。AFPに関しては日本FP協会独自のものですからこれで確かだと思います。ただ、CFPに関してはあくまでも「ライセンス契約」のもと協会が認定しているだけとのことですので何とも言えませんが…
宅建
最後に宅建についても見ておきましょう。宅建は正式には「宅地建物取引士」という資格であり、不動産適正取引推進機構が実施している宅建試験に合格した者で、一定の実務経験がある者または所定の講習を終了した者が取得できる資格です。
で、僕もそうなんですが宅建試験には合格したものの、実務経験もなく、登録実務講習もまだ受講していないため、この「宅地建物取引士」を名乗ることはできないという方も多いのではないでしょうか。
そして、この実務経験か登録実務講習をクリアして登録を済ませ「取引士証」の交付を受けているという場合には、これはもう「宅建士」の資格を保有していることになりますので、普通に「宅地建物取引士」と記載しておけばよいかと思います。
宅建試験は合格のみで履歴書に書くべき
先程の「宅地建物取引士」ですが、宅建試験には合格しているものの特に実務経験もなく、タイミングが悪くて実務講習を受けていないにもかかわらず履歴書等を書かなければ成らないときが来てしまうようなことも考えられます。
この場合に「まだ宅地建物取引士ではないから何も書かない」というわけにはいかないでしょうから、せめて宅建試験に合格しているということを伝えるようにしなくてはなりません。
そうなると、これについてもできる限り”正しい名称”で記載していくべきと言うことになりますが、手元にあった宅建試験の合格証書には以下のような記載がありました↓
宅地建物取引業法第16条
~中略~
平成30年度宅地建物取引士資格試験に合格したことを証する
平成30年12月5日
宅建試験 合格証書より
ということでこれについては、
「宅地建物取引士資格試験」
という名称でいくのが妥当でしょう。ただ、日商簿記の合格証書ではその日付が「試験のあった日」であるのに対し、宅建試験は「合格発表の日」が記載されていました。
普通に考えれば履歴書に書く「資格を取得した日付」は、試験のあった日(年月)を参照することかと思いますが、これについては資格を取得したということではなく単に試験に合格したのみです。
この場合どちらを使うべきなのか迷いどころです。まぁ、そこまで気にすることではないのかもしれませんが…
場合によっては「持っていても履歴書に書くほどでもない資格・検定」も…
最後に、たとえ資格試験や検定に合格し、その資格を保有しているとしても、場合によっては履歴書等の文書にはそれを書かないという選択肢もあるはずです。
例えばFP3級のように誰でも比較的簡単に、短時間の勉強で取得できる資格や日商簿記初級など、今履歴書等を渡そうとしているところにとっては明らかに低レベルな資格や等級などの場合です。
こういった場合、特にそれを書いても何も良いことはないかと思いますし、逆に言えば「普通2級や1級のはずのところをコイツは3級か…」などと取られてしまうかもしれません。
よって、もしいろいろな資格を取得している場合であっても、その全てを履歴書等に記載していくのではなく、多少は厳選していく方がよいのではないかと思います。
もしかしたらこれに関しては人それぞれかもしれません、時として「何も書かないより良いのではないか」という考えの方も居られるでしょう。
取得している資格、合格した検定を履歴書等に記載する場合には、その名称をどのように書くべきか?ということだけでなく、どれを書いておくべきか?ということも考えなくてはならないのかもしれません。
まとめ
今回は「保有している資格を履歴書等の資格欄に記載する場合」についてでした。
このブログでも自分が受験した・勉強している・受験を予定している様々な資格・検定について、日商簿記とかFP○級というように”略称”で記載していることが大半です。
しかし本来それらにはしっかりとした名称があるはずであり、「正式な文書」にその取得の事実を記載する場合には、可能な限り略称は避けたいところでしょう。
今後、履歴書等にそのような記載をする予定がある方は、ここだけでなく「試験実施団体のHP」や「合格証書」なども参考に、「保有資格の正しい名称と記載方法」を確認していくべきでしょう。