2019年になり、新元号になって始めての宅建試験の勉強を既にスタートしている、という受験者の方も少なからず居るのではないでしょうか?
昨年の試験、つまり「平成最後の宅建試験」では、それまで36点を超えることがないかとも思われていた合格基準点が、「37点」となるなど、波乱の展開となりました。
そんななか、はじめて宅建試験を受験した僕は、ちょっと厳しいかなどと感じながらもなんとか合格することができました。
しかしながら、独学で受験したこともあってか「権利関係」の範囲で出題される民法や判例についての事項に関しては、試験対策期間を通して相当に苦労させられ、受験が終わった今でもかなりわかっていないような論点が多数存在するはずです。
宅建試験の対策をしていた当時は、この「権利関係」にかなりの時間を割き、少しでも多くのことを覚えようと考えていたわけですが、今になって冷静に考えれば、他の範囲にも目を向けていれば、もっと効率の良い勉強をすることができていたかもしれません。
そこで今回は、宅建試験で出題される範囲のうち、どの範囲が最も勉強の効率が良い、つまり短い時間で、より得点力の上昇が見込めるのか?について、いろいろと考えていこうと思います。
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権利関係(民法・判例等)はハードすぎる
まず、宅建試験で問われる範囲のうち、「権利関係」として出題される民法や判例などの内容は、当該試験の出題項目の中でももっとも難易度が高く、覚えるのに相当な時間を要するものであると考えます。
これに関しては「法学部出身」など、もともと「法律」に触れる機会が多い、または多かった受験者の方にとっては、さほど苦労するものではないのかもしれません。
しかし、僕のようにこれまでそういったものに関する知識をあまり得ることがなく過ごしてきたタイプの人間にとって、ここから新しく得る知識としてはあまりにも複雑で、難解なものに感じました。
そして、この「権利関係」の範囲は、宅建試験に先行して取得しており、その知識が合格に大きく貢献したと考えられる「FP2級」の試験範囲に含まれていないものが多く、かなりの確率で「全くの初見」になってしまうのも苦労して理由のひとつなんじゃないかと思います。
実際、今回の宅建試験の終了後に「日建学院」さんから送付されてきた冊子を見ても、この範囲からの出題で正答率の低い問題が目立ちました。
そのようなことを考えた場合、この「権利関係」の範囲は宅建試験で出題される他の範囲と比べ、別格に難しく、貴重な試験対策の時間をいたずらに浪費してしまうことになる可能性すらあるのではないかと思ってしまいます。
そうなると、無理に権利関係の難解な論点を押さえに行くよりも、もっと他の範囲に時間をかかることで総合的な得点力を上げ、残りの時間でここをある程度まで習得する、という作戦の方が有効なように感じます。
では、宅建試験の出題範囲であるその他の範囲についても確認していくことにしましょう。
問題数の多い「宅建業法」
続いて着目してみるのは、宅建試験において最も出題される問題数が多く、実質この試験の「メインコンテンツ」であると考えられる「宅建業法(宅地建物取引業法)」です。
「問題数が多い」というのはどのぐらいかというと、宅建試験で出題される問題は全部で50問(免除科目含)であり、そのうち20問がこの「宅建業法」空の出題となっています。
つまり、宅建試験の40%がこの範囲からの出題ということであり、ここがしっかりできているかどうかで、合格できるかどうかが大きく左右されるのは言うまでもありません。
そして、この宅建業法の範囲では、宅地建物取引士や宅建業の免許に関する割りと覚え易い内容や、「当たり前だろ!」と思うような業務上の規制など、しっかりやれば十分に覚えられる内容の論点が多かったと記憶しています。
もちろん、中には「35条書面」等のような結構覚えるのが大変で、結局細かいところまでは押さえ切れなかったような論点もありますが、それにしても「権利関係」とは違い、「読んでも何言ってるかわからない」レベルのものは存在しなかった分、かなりやり易かったように思えます。
なお、「覚え切れなかった論点がある」とはいえ、僕の場合は試験対策の開始から本試験まで、あまり時間が無かったために多少疎かになってしまった部分が多く、それゆえのことであるはずです。
賢明な受験者の方は、もっと計画的に、早いうちから試験対策を開始していることでしょうから、相当な時間不足ということがない限り、また、僕のように何も知らずに「権利関係」のところに時間をつぎ込んでいない限りは、十分に細かいところまで習得することができるのではないかと思います。
「法令上の制限」はFPとの共通範囲も多い
次に見ていくのは、宅建試験対策のテキストなどでその扱いの割合を見ると「3番手」になってくるはずの「法令上の制限」についてです。
この範囲はFP2級との重複論点が多く、試験対策としては「以前学習した内容の再確認」という感じのことが多かったと記憶していますが、ところどころに新しい内容があり、また、同じものでもFP2級のそれよりは少し突っ込んだものになっている箇所が多かった感じです。
とはいえ、試験対策に使っていたテキストや問題集が「FP・金融機関職員専用のもの」であったこともあり、FP2級から多少レベルアップしている部分にも割りとすんなり対応することができ、やはり「権利関係」と比べると随分楽であったのは間違いありません。
ただ、この「法令上の制限」の宅建試験での出題数は全部で「8問」となっており、20問の宅建業法、14問の権利関係と比べるとちょっと見劣りします。
また、都市計画法や建築基準法、農地法以外にも、ここの範囲に含まれている「法令上の制限」は数多くあり、突然出題される意味不明な「マイナー法令」に対処できるのかどうかというと、正直微妙な気もします。
その他の範囲は微妙…
その他にも、宅建試験では「税金関係」や免除科目にもなっているいくつかの範囲など、出題されるものがあります。
しかし、そういったものについては出題されるとはいえその数も少なく、また、統計関係などについては実際に何を確認していけばよいのかすらちょっとよくわからないという始末です…
そう考えると、このあたりの「その他の範囲」については余裕があるときについでに確認していくような感じにしていくのが無難ではないかと思います。
特に、最後の2問である土地や建物の構造?などに関する問題は、ちょっとよく考えればわかりそうなものもかなりありましたので、最後にちょっと確認しておくと、それだけで「2点」になるわけですから、忘れずに押さえておくべきでしょう。
総合的に見ると「宅建業法」が強いか?
では、全部の範囲を総合的に見た場合、最も得点効率の良い、勉強の効果が高い範囲はどこになってくるのでしょうか?
おそらくですが、上記のことなどを踏まえて考えると「宅建業法」が、宅建試験の本試験で「最も得点に結びつき易い範囲」であるのではないかと思います。
「宅建業法」の範囲は先程も述べたように「50問中20問の出題」と、全ての範囲の中で最も本試験での出題数が多く、かつ、読んでも理解できないような複雑な考え方の論点も少ないように思えるためです。
そういった理由から、宅建試験の勉強をするにあたり「もっとも時間をかけ、重視していく範囲」は「宅建業法」であるものと結論付けます。
もちろん、それ以外の分析やプロの講師の方の判断によっては、宅建業法以外の範囲を重要視し、合格のためにもっと時間をかけて得点力を養っていくべきであるとするかもしれません。
このブログでの結論は「宅建業法が重要ではないか?」ということになりますが、実際に宅建試験の勉強をする際には、もっと他の情報も収集し、様々な角度から、どの範囲をより重視していくことにするのかを考えるべきでしょう。
また、宅建試験は「相対評価」といえる試験ですから、独学で勉強していくよりも資格スクールの開講している試験対策講座を受講した方がはるかに効率がよくなってくるはずです。
そして、試験対策講座を受講すれば、その担当の講師の方が「最も合格に近い」と考える方法で試験対策を進めていくことになるはずです。
そうなると、自ずと「最も重要な範囲」に偏重した勉強時間の配分になってくるものと思われ、「どこをどのぐらい勉強していくべきか?」等ということを考える必要もなくなり、ペース配分の失敗もあまり考えなくてよさそうです。
そういった点でも、講座を受講する方がかなり有利になることも考えられますので時間と資金に余裕がある場合には、無理やり独学で受験するよりは、プロに頼って確実に合格を勝ち取りに行く方が無難であるように思えます。
まとめ
今回は、自分が宅建試験において「権利関係」に時間を取られすぎ、それでも”完璧”には程遠い出来栄えになってしまった経験から、もっと効率よく得点を伸ばせる範囲があるはずだということで、その他の範囲の「勉強効率」を考えてみました。
結果としては、本試験での出題数が最も多く、難解な論点も少ないと考えられる「宅建業法」の範囲を最も重視していくのが、得点を伸ばすために最善であるという考えに至りました。
他にもいろいろな要素を考えに入れた場合、もっと別の結論になってくる可能性もありますが、全部挙げていったらキリがないため、ここで考え付く限りの要素で判断しました。
宅建試験は年1回しか実施がなく、その中で20万人以上が受験する厳しい試験ですが、しっかりと試験対策をしていくことで十分に一発合格が狙える試験であるはずです。
早い段階から試験対策を始めている受験者の方は、それだけ合格のチャンスも大きくなってくるはずですので、ここから先、気を抜かずに頑張っていくことをお勧めします。