簿記試験対策「固定資産」~減損会計③ 共用資産の減損損失~

最近全身が凄い勢いでおっさん化し、胃とか肝臓とか、いろいろな資産に「減損の兆候」が見られるようになってきました。
ちなみにお財布のキャッシュフローは最近「継続してマイナス」になっています。どうでもいいですね!

さて、様々な簿記の試験において、「固定資産の減損」は結構重い論点なんじゃないでしょうか?
過去2回にわたってそれについて記事にしてきましたが、話が進む毎にややこしい内容になっていく印象ですよね…
※固定資産の減損についての関連記事↓
簿記試験対策「固定資産」~有形固定資産の減損会計①~
簿記試験対策「固定資産」~減損会計② 資産のグルーピング~

今回はそんな減損会計も最後、一番うっとうしい「共用資産」について確認していきます。

共用資産の扱いは?

共用資産とは複数の資産や資産グループがキャッシュフローを生じさせることに資するもののことです。
簿記の試験ででてくる代表的なのは「本社建物」でしょう。
確かに工場があって機械があって、トラックも営業者もある、生産体制はカンペキだぜ!
ってなってもちゃんと本社がそれをまとめて営業活動だの決算だのしていかないとならないわけです。
で、工場はひとつだけとは限りませんし、他の資産グループもあるかもしれません。
そうなると「本社」はそれらのどの資産グループのキャッシュフローの生成に寄与してきます。
じゃあその「本社建物」とかの資産はどのグループに入れるの?ってことになってきます。
ここで考えられたのが、

  • その共用資産がキャッシュフローの生成に寄与している資産や資産グループを含む、
    より大きな単位でグルーピングしたらどうか?
  • 共用資産の帳簿価額を各資産、資産グループに配分して、
    配分後の資産、資産グループについて減損損失の認識、測定を行ってはどうか?

注:「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」参照

それで結局「共用資産の帳簿価額を合理的に各資産、資産グループに配分するのは無理!」
ってことになったため、前者の「共用資産を含むより大きな単位でグルーピング」の方を原則としようってことになったそうです。
もし、いちいち配分する方を原則としていて、それが簿記の試験で出題されていたらと思うとまだマシな方を採用してくれました。
もう「企業会計審議会」に足を向けて寝られません、どこにあるか知らんけど…

共用資産を含んだ減損の流れ

「資産のグルーピング」のときもそうでしたが、共用資産を含む減損の場合においても、普通の資産単位でやる減損よりも手順が増えてくることになります。
このときのやり方について「固定資産の減損に係る会計基準」では、

共用資産を含む、より大きな単位について減損損失を認識するかどうかを判定するに際しては、共用資産を含まない各資産又は資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額に共用資産の帳簿価額を加えた金額と、割引前将来キャッシュ・フローの総額とを比較する。この場合に、共用資産を加えることによって算定される減損損失の増加額は、原則として、共用資産に配分する。
参照:中央経済社 編(2012)「会計法規集」81頁

とされています。
・・・これだけだと何いってるかわかんないので、以下で順を追って確認していきたいと思います。

まず設例として、

当社は「工場」「営業所」「倉庫」と、共用資産である「本社建物」を保有している。
これらすべての資産および資産グループについて減損の兆候がみられる。
それぞれの資産の状況は以下である。
工 場:帳簿500円・割引前CF400円・回収可能300円
営業所:帳簿300円・割引前CF350円・回収可能200円
倉 庫:帳簿200円・割引前CF250円・回収可能100円
共用資産の帳簿価額:1,000円
帳簿合計2,000円
合計の割引前CF1,700円
合計回収可能額1,500円
これらの資産についての減損損失の金額と共用資産に配分される金額は?

これを使って話を進めていくことにします。

資産または資産グループごとの減損処理をする

ここは普通に前回前々回に確認したような減損処理をしていきます。
このタイミングではまだ共用資産については触れず、「建物」とか「資産グループA」とかそういったものについて個別に処理していくことになります。
おそらく簿記の試験では、ここで減損処理する資産としない資産があって、それぞれ判断したうえで次のステップに進む感じの問題になってくるでしょう。
ゆえにここでミスしてしまうといくら次の段階以降でやり方がわかっていても正解までたどり着くことはありません。
「ここは簡単かな?」って問題でもしっかり確認していかないとなりませんね…

それでこのステップを上記の設問で見てみると、
まず「工場」「営業所」「倉庫」のうち、割引前の将来キャッシュフローが帳簿価額を下回っているのは「工場」のみだということがわかります。
よってここでは工場のみ減損して、あとの2つは手をつけないことになります。

工場:帳簿価額500円-回収可能額300円=200円(減損損失)

共用資産を含む全体の減損処理をする

次に共用資産も含めて、全体で減損するかどうかを判断します。
設例でみると3種類の資産と1,000円の本社建物(共用資産)を合計した金額は2,000円になっています。
このトータルでの帳簿価額が、同じくトータルでの割引前将来キャッシュフローである1,700円を下回っています。
なのでここでは「共用資産を含むより大きな単位」においても減損損失を認識することになります。

全体:帳簿価額2,000円-回収可能額1,500円=500円(共用資産含む減損損失)

減損損失の増加分を共用資産に配分する

最後に「より大きな単位」で測定したことによって増加してしまった減損損失の金額を共用資産に配分する処理をしていきます。
ひとつ上で見た「全体の減損損失」は最初に測定した「工場」で発生した分も含んだ金額になっています。
ゆえにそのまま共用資産に持っていったりした場合、工場の減損処理後の帳簿価額がどうかなってしまいます。
そこで「工場の分」として確定した金額を全体のそれから控除してやることになります。

共用資産の減損損失:全体500円-工場200円=300円

これでやっと共用資産も含む全体の減損損失の測定が終わったわけですが、
まだひとつ問題が残っています。
これは「資産のグルーピング」のときにもあったことなんですが、
共用資産における減損処理後の帳簿価額が、その正味売却価額を下回ってしまうこともありうるんですね。
もちろんそのままにしておくわけにはいきませんから、そうなった場合にはさらにもう一段階やることが増えてしまいます。
正直もう付いていけませんが、やらないと不正解になってしまうようなので確認していきます。

共用資産の正味売却価額を下回る場合

「共用資産を含むより大きな単位」で減損処理をした際に、共用資産の帳簿価額がその正味売却価額を下回ってしまった場合には、
改めてその超過した(控除しすぎた)金額分を、別の資産に再配分してやる必要があります。
このとき問題になってくるのが、「どのような比率で超過分を各資産に振り分けるのか?」ということです。
で、その方法として簿記の試験で出題されるやり方は2種類あるようです。
それが、「減損処理後の帳簿価額の比率で配分する方法」と、
「帳簿価額と回収可能額との差額の比率で配分する方法」になります。
では、それぞれ確認していきます。

なお、ここで上記の設例にひとつ要素を足しておきます。

ちゃんと調べた結果、本社建物の期末における正味売却価額は800円であることが判明した。

一つ前の解答だと、共用資産である本社建物に配分される減損損失の金額は300円となっており、
帳簿価額1,000円-減損300円=700円
ということで処理後の帳簿価額が正味売却価額を下回っています。
こうなると超過する金額は、
正味売却価額800円-処理後帳簿価額700円=100円になりますね。

減損処理後の帳簿価額の比率で配分する方法

まずはこちら、帳簿価額の比率をとって、それに応じて超過した金額(100円)を配分していきます。
減損処理によって3種の資産の帳簿価額はそれぞれ、
工 場:300円
営業所:300円
倉 庫:200円 ※合計800円
ということになっていますから、これらに100円を配分することになりますね。

工 場:100円×300円/800円=37.5円
工場の帳簿価額262.5円
営業所:100円×300円/800円=37.5円
営業所の帳簿価額261.5円
倉 庫:100円×200円/800円=25円
倉庫の帳簿価額175円

このようになってくるはずです…
でもよく考えたら今度は「工場」がおかしくなってきますよね?
だって工場は一旦減損処理をして、回収可能額の300円まで帳簿価額の引下げをしているのですから、
ここでさらに損失を割り当ててそれより低い金額にすることはできないはずです。
よって、「各資産の回収可能価額を下回らないように!」みたいな指示があった場合、(というか簿記の試験だと多分あるような気がしますが)以下のようになります。

工 場:配分なし
工場の帳簿価額300円
営業所:100円×300円/500円=60円
営業所の帳簿価額240円
倉 庫:100円×200円/500円=40円
倉庫の帳簿価額160円

「500円」というのは営業所と倉庫の帳簿価額を足した金額です。
これでやっと共用資産も工場も、回収可能額を下回ることなく減損処理が完了しました。

帳簿価額と回収可能額の差額の比率で配分する方法

続いて「差額の比率」を使っていく方法です。
先程の設例をみると、それぞれに回収可能な金額が付されています↓
工 場:300円(帳簿価額300円)
営業所:200円(帳簿価額300円)
倉 庫:100円(帳簿価額200円)
ってやつです。工場に関しては減損を認識したためその金額まで下がっていますが、
残りの2種については帳簿価額はそのままです。つまり帳簿価額と回収可能な金額との間に差額が生じているわけです。
ここではその「差額」を使って超過分を配分していくことになります↓

・帳簿価額と回収可能価額の差額
工 場:300円-300円=0円
営業所:300円-200円=100円
倉 庫:200円-100円=100円 ※差額合計200円
・配分する金額の計算
工 場:100円×0円/200円=0円 ∴配分なし
工場の帳簿価額300円
営業所:100円×100円/200円=50円
営業所の帳簿価額250円
倉 庫:100円×100円/200円=50円
倉庫の帳簿価額150円

ということになります。さっきの「帳簿価額の比率でやる方法」と少し配分される金額が変わってきていますね。
こちらは工場の分が自動的にゼロになるので、回収可能額を下回る心配はありません。
ただしどうあっても帳簿と回収可能額の差額を求めていかなくてはならないため、
普通に時間がかかってしまうのは間違いないかと…

実際の簿記試験ではどちらの方法が出題されるかわかりません。
ゆえにどっちで来てもできるようにしていくことがひとつと、
問題文を読み間違えたりして別の方法でやってしまわないように注意すべきでしょう。

まとめ

簿記の試験の中でも結構重い論点だと思われる(個人の感想です)「固定資産の減損」について3回に分けて確認してきました。
正直、本試験で時間のない中、しっかりやり切れるのか不安な部分ではあります。
ストレートにわかりやすく出題してくれれば何とかなるのかもしれませんが、
今の理解度で「ちょっとひねってみました!」見たいな問題が着たら太刀打ちできないことは言うまでもないかと…
とにかくこの論点について扱っていない問題集はないはずですので、いくつも問題を解いているうちにさらっとできるようになっていけたらいいな~ぐらいに思ってます。

で、この次に何を確認していくのかまだしっかり考えていないんですが、有価証券か商品販売あたりの基本的な内容についてやっていくかと思います。
どっちも重要かつ出題頻度の高い論点でしょうが、
商品販売のほうは「特殊」の方も考えるとかなり厄介な内容かと、
たしか日商簿記2級からは外れたんでしたっけ?

とにかく範囲を一周するまでは基本的な内容を確認していくことにします。