簿記試験対策「固定資産」~減損会計② 資産のグルーピング~

世界中の株価とか仮想通貨とかいろいろ暴落しています。
空売りで大儲けした方、胃に穴が開いた方などいろいろかと思います。
早いとこ落ち着いていただけるとありがたいものですが、
こういった「調整」みたいなのは定期的に入ってくるんでしょうね…

さて、企業会計では金融資産は時価で評価しますが、前回からやっている「減損会計」はこれとは異なり、
資産価値の変動によって利益を測定したり、決算日の資産価値をB/Sに表示したりといったものではありません。
減損会計は「過大となった帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないために行われる」ものであり、
「取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額」であるとされています。
これも財務諸表論の理論で出題されるかもしれないですね。

で、前回に引き続き「減損会計」について確認していくわけですが、
今回は「資産のグルーピング」を見ていこうと思います。
※前回の記事は以下↓
簿記試験対策「固定資産」~有形固定資産の減損会計①~

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Contents

資産のグルーピング

減損を行う固定資産の対象として挙げられるものは、
「資産」または「資産グループ」みたいな呼ばれ方をしています。
事業用の固定資産はもちろん単体で稼動するようなものもあるかと思いますが、
「いくつかの資産が一体となって」キャッシュフローを発生させるのが普通であるといえるでしょう。
そのキャッシュフローを発生させる独立した最小の単位を「資産グループ」としていきます。
例えば、「工場A」があったとしたら、そこの敷地(土地)や建物、機械などをまとめて、
ひとつの「資産グループ」とする感じです。
この後、減損を認識するかどうかの判定や減損損失の測定ではこのグループごとに動いていくことになります。
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資産グループ単位での減損

資産グループにおいて生じたキャッシュフローは、いくら会計担当の人ががんばってもそれぞれの資産にどのぐらいの割合で帰属しているのか判断できないことがあるでしょう。
当然、それは「減損損失」の測定であっても同様です。
そのため簿記では、「合理的な方法」として、減損損失を隠し産後との帳簿価額の割合などをもって比例配分することにしています。
では、具体的な計算について以下の設例で確認していきます。

当社は工場Aに属する資産グループに減損の兆候を認めた。
工場Aに属するそれぞれの資産の帳簿価額は以下である。
・建物:1,000円
・土地:1,000円
・機械:1,000円

当期末において、工場Aの回収可能額は1,500円と見積もられた。
なお、減損損失については各資産の帳簿価額に基づいて比例配分する。

この場合における資産グループの帳簿価額は、
1,000円×資産3つで3,000円になります。
一方で回収可能額は1,500円、
つまり3,000円-1,500円=1,500円の減損損失となります。
この1,500円を各資産の帳簿価額に基づいて配分すればいいわけですね。

建物:1,500円×1,000円/3,000円=500円
土地:1,500円×1,000円/3,000円=500円
機械:1,500円×1,000円/3,000円=500円

こんな感じで各資産に減損損失を配分することになります。
この例は簡単な内容でしたが、例えばこのときに「土地」が600円で売れることがわかっていた場合、
土地の帳簿価額を500円まで下げるのは簿記上ちょっと…と思いますよね。
次は各資産の「正味売却価額」がわかっている場合について確認して行きます。

グループ内の各資産の正味売却価額がわかる場合

資産がグループ単位でしかキャッシュフローを発生させることがない場合、
グループ内に属するどの資産もそれぞれの使用価値を算出することはできそうにないですよね。
だって単体じゃ何もできないんですから。
でも、それぞれの資産を「売却」した場合の金額ならわかりそうです。
で、減損後の帳簿価額を算定するにあたり、その「正味売却価額」を下回らないように!
みたいな問題が出題されることがあるでしょう。
そのような場合には、減損損失が正味売却価額を突き抜けてしまった資産の分について、
その金額を別の余裕がある資産に再配分する必要があります。
では、そういった場合についてさっきの設例を少し改題して確認していきます。

当社は工場Aに属する資産グループに減損の兆候を認めた。
工場Aに属するそれぞれの資産の帳簿価額は以下である。
・建物:1,000円
・土地:1,000円
・機械:1,000円

当期末において、工場Aの回収可能額は1,500円と見積もられた。
なお、減損損失については各資産の帳簿価額に基づいて比例配分する。

また、各資産の正味売却価額は、建物500円、土地600円、機械100円である。
減損損失配分後に資産の帳簿価額が正味売却価額を下回るものがあったっ場合、
その超過した部分は他の資産に再配分する。

さっきと同じように解いていくと、
まず3,000円-1,500円=1,500円の減損損失となります。
この1,500円を各資産の帳簿価額に基づいて配分します。

建物:1,500円×1,000円/3,000円=500円
土地:1,500円×1,000円/3,000円=500円
機械:1,500円×1,000円/3,000円=500円

しかしここで「土地」から500円の減損損失を控除してしまうと、
残った土地の帳簿価額は500円となり、正味売却価額を下回ってしまいます。
よって、土地の正味売却価額600円から、
本来の減損ご帳簿価額500円を控除した100円を、他の資産に配分していくことになります。
で、この場合は機械が正味売却価額100円と、余裕があるのでここに振り分けることになります。

よって、減損損失の金額は、
建物:500円
土地:400円
機械:600円
ということになってきます。

このような問題の場合、2段階で配分しなくてはならないため、
場合によっては非常に複雑になってくるんじゃないかと思います。
何度か練習して、さっと解答できるようにしておかなくてはなりませんね…

まとめ

今回の「グルーピング」された資産における減損処理は、普通のものに比べてちょっとややこしい感じになってしまいます。
しかし、この次回に確認しようとしている「共用資産」のタイプはもっとヤバイ奴なので、
できれば簿記論の本試験では出てこないでほしい…と思っています。
とにかく、このまま減損会計についての確認を進めていこうと思います。

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