簿記試験対策「本支店会計」在外支店がある場合の会計処理

簿記の練習問題を解いているなかで、本支店会計の問題はただでさえ回答のプロセスが多く、しかも本店、支店の財務諸表なんかが資料として記載されていることから問題自体が複数ページにわたるなど、あまり良い印象がありません。

そのなかでさらに、支店の残高試算表などに「単位:ドル」などと書いてあった日には、直ちにとばして次の問題にいきたくなってしまいます。

しかし、税理士試験の簿記論では「在外支店」のような難しい、複雑な論点を好んで出題してきそうな気もします。ということはここを疎かにしていると、また今年も第1問、第2問の個別問題で大量失点、というような事態に陥ってしまう可能性があります。

そこで今回は、本支店会計のなかでも特に厄介な、「在外支店がある場合の会計処理」について基本的な事項を確認しておこうと思います。

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在外支店の財務諸表を円換算しなくてはならない

在外支店がある場合の本支店会計の問題を解答するにあたり、前提となるのは「外国にある支店の帳簿は外貨で表示されている」ことと「その外貨建の各勘定を円貨額に換算しなくてはならない」ということです。

で、換算のタイミングとしては、期末まで支店の帳簿を付け終わった後、つまり本店と支店の財務諸表を合併したものを作成するとき、となっています。そこではじめて外貨で表示されていた在外支店の勘定を円貨額に換算する作業が行われることになるんですね。

貸借対照表項目の換算を先にやることになる

在外支店の各勘定を円貨額に換算するときには、まず「貸借対照表項目」から先に換算していくことになります。決算のあたりの処理になると「損益項目」から先に手を付けがちですが、本支店会計における在外支店の換算処理についてはこちらになるということを覚えておかなくてはならないようです。

ここで支店にある「本店勘定」も換算しなくてはなりませんが、これについては本店側での「支店勘定」をそのまま持ってきて当てはめるだけとなるようです。

損益計算諸項目で出た貸借差額は「為替差損益」

次にB/S側で出てきた当期の純利益を損益項目に当てはめ、損益項目についてもそれぞれ換算していくことになります。

これらを円価額に換算した後にはどうしても貸借に差額が生じるはずです。その出てきた差額を「為替差損益」とすることになります。これでB/S、P/L共に貸借が合致することになるはずです。

また、ここでも「本店仕入」の項目は本店側の「支店向売上」に記載されている数字をそのまま持ってきて使うことになります。

円換算する際に使用する取引レート

続いて、在外支店の各項目を円貨額に換算する際のレートについてです。

換算レートは原則として「本店で使用するものと同じレート」を使用することになります。

※簿記の試験における外貨建項目の円換算については以下の記事から↓

簿記試験対策「外貨建会計」~外貨建取引の期末換算と為替予約~
近年、経済のグローバル化によってどんな企業でも「海外との取引」を行う機会があるように思えます。しかし、そこに付きまとってくるのが"通貨単位の...

しかし、収益・費用項目や本店との取引に関する項目については「期中平均レート」を用いて処理することも可能になっているようです。

この「期中平均レートを用いて処理する場合」には、期首商品棚卸高について「前期の」期中平均レートになってくることに注意が必要かと思います。このあたりは実際の簿記の問題中に指示があると思うので、問題文をよく読んでそのとおりにやっていく他ないでしょう。

さらに覚えておかなくてはならないのが、固定資産の減価償却費を換算する際には「取得日のレート」で換算することと、その他有価証券の処理についても本店で処理するのと同様の換算をしなくてはならないことです。

特に、その他有価証券評価差額金が、外貨建での処理と円貨額に換算した場合の処理では反対に来ることになる可能性があることを頭に入れておかなくてはなりませんね。

設例

在外支店は帳簿価額100ドルのその他有価証券を保有している。この有価証券の取得時の為替レートは「1ドル100円」であった。

  • 決算時の時価:110ドル
  • 決算時の為替レート:1ドル80円

外貨建で計算した場合の評価差額の仕訳

投資有価証券    10その他有価証券評価差額金 10

※単位:ドル

円建てで計算した場合の評価差額の仕訳

その他有価証券… 1,200投資有価証券   1,200

※単位:円

有価証券の帳簿価額:100ドル×取得日レート100円=10,000円

有価証券の期末時価:110ドル×決算日レート80円=8,800円

⇒その他有価証券評価差額金:1,200円(借方)

簿記の試験で出題されそうな普通の外貨建会計と比べて、ちょっとややこしい処理が増えているように思えますが、大体の練習問題ではこの「換算」がポイントになっているようなので、簿記論の本試験でもこういった細かいところを狙われてくる、ということなんでしょう。

換算レートには特例を適用することもある

簿記の試験問題では、この在外支店の各項目を円換算する際に、特例を適用することもあるようです。

この方法では、棚卸資産などの「非貨幣項目」に重要性が無いと判断された場合に、すべてのB/S項目を決算日レートによって円換算できるということになっています。ただし、本店感情についてはこの限りではありません。

僕の場合、まだそこまで簿記論、というか本支店会計の練習問題をやりこんだわけではないため、このようなケースに遭遇したことはまだありませんが、総合問題の中で出題されるときに簡便法として出てくるんじゃないかと予想しています。

なんにせよ、こういった方法があるということは覚えておかなくてはなりませんね…

まとめ

本支店会計は「在外支店」に関する取引を今回の記事で先に確認してしまいました。しかし本支店会計そのものについてもやり直さなくてはならない気がするため、どこかで一度確認しておきたいとは思っています。

なお、本支店会計については日商簿記2級でも出題範囲になっています。

※日商簿記2級の出題範囲の改正については以下の記事から↓

日商簿記 出題範囲改正で難化した?合格率は?
FP2級の試験が終わって以来、簿記について記事を書くことが多くなってきました。と、いっても今目指しているのは「税理士試験」の簿記論であって、...

ということは、在外支店だけの記事よりも本支店会計の基本的な部分に関しての記事の方が需要がありそうですね…

※本支店会計の基本については以下の記事から↓

7bce480a90ba8c2ca3d2ad2ca6762ce4 100x95 - 簿記試験対策「本支店会計」在外支店がある場合の会計処理
簿記試験対策 本支店会計の基本的な処理
本支店会計についての論点は、簿記の試験で出題されるもののなかでも問題自体が長かったり、計算量の多さや未達取引の処理なんかに時間を取られるなど...

ということで近いうちに”簿記2級にも対応しそうな”本支店会計についても見ていくことにします。

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