簿記試験対策「固定資産」~資本的支出と収益的支出~

今回は「有形固定資産」に関する事項の続き、
「資本的支出」と「収益的支出」についてです。
※前回の記事は以下↓
簿記試験対策「固定資産」~有形固定資産の取得価額と減価償却~

会社が有形固定資産を購入したら、当然それを使って事業を遂行していくことになります。
で、土地みたいに使っていても価値が減らないものを除いた大体の固定資産は、
「使用」や「時の経過」などによって劣化し、その資産価値を落としていくことになります。
その実質的な価値の下落にあわせて、減価償却を行うことで帳簿に記載される価額も少なくなっていき、
最終的には1円の「備忘価格」を残して費用化されてしまいます。

しかしながら、会社としても高額な固定資産が劣化し、使い物にならなくなっていくのを黙って眺めているわけではありません。
固定資産に対して「修繕」を行うことで、その固定資産の耐用年数を延ばし、長く使えるようにしていくんですね。
ではそのときにかかった費用は帳簿上どう処理していくのか、以下で確認していきます。

その期の費用か資産計上か

固定資産に対する修繕等には、
たとえば「壁紙がアレだったのでちょっと直した」という簡単なものから、
「もう原形留めてないレベルで大規模改修した」というようなものまで様々です。

このとき、それに要した費用をどのように処理するのか?ということが問題になってきますが、
ざっくりいうと以下のような処理になってきます。
その修繕等が「単なる維持・管理」に過ぎないものである場合
⇒収益的支出となり、「修繕費(費用)」として処理。
その資産の価値や耐用年数を増加させるものである場合
⇒資本的支出となり、固定資産の取得原価に算入する。

上記のどちらになるのかについては、問題文などで「定期的な修繕である」とか、
「耐用年数が○○年延長した」みたいなキーワードがあり、そこから判断することになるかと思います。
ここで、修繕が全額「収益的支出」とかなっていたり、明確に区分されている問題だったりすればいいんですが、
結局ひとつの取引の中に複合していて、自分で分けなくてはならない…なんて問題が多いんじゃないかと思います。
以下、「資本的支出」と「収益的な支出」が複合していた場合の処理について確認していきます。

資本的支出と収益的支出の分離

例えば以下のような問題があったとします。

当社は期首に所有している建物の改修を行い、当座より1,000円を支出した。
支出した金額については現在において一切の処理がなされていない。
この建物は取得価額10,000円、期首減価償却累計額5,000円で、
残存価額ゼロの定額法で償却、耐用年数10年中5年が経過している。
この改修により建物の残耐用年数は5年延長され、10年となった。
支出時の仕訳を答えなさい。

このとき、問題文上では修繕費になる部分と取得原価に算入される部分の具体的な配分が示されていません。
こうきた場合には自力でそれぞれに対応する部分を導き出して解答する必要があります。

まずは上記の問題のように固定資産の耐用年数が延長した場合です。
この場合においては、「トータルの支出金額」のうち、耐用年数延長分を資本的支出として資産計上する必要があります。
具体的なやり方は、
「資本的支出=支出金額×延長された耐用年数÷延長後の耐用年数」となります。
従って上記の問題では、
資本的支出=1,000円×5年(延長分)÷10年(延長後の耐用年数)となり、
資本的支出は500円、残りの500円が修繕費(収益的支出)となってきます。

これにより問題の答えは

建 物 500 / 当 座 1,000
修繕費 500 /

ということになります。めんどくさいですね。

次に、「固定資産の価値が○○円増加した」とかの場合ですが、
こちらは単純に、
「資本的支出=価値増加後の価額-価値増加前の価額」となります。
固定資産の価値が増えた分だけその資産の取得原価に算入することになります。
こっちはずいぶんわかりやすいように感じます。
「耐用年数の延長」は計算がめんどいし、そこでミスするかもしれません。
上で例とした問題のように延長分がわかりやすく記載されているとも限りませんし…
ということで、できれば「価値の増加」で出題されて欲しいと思っております(願望)。

さて、収益的支出についてはその期の費用となるため、その金額が算出できればOKになります。
しかし資本的支出の部分については「資産計上」されてしまうため、
ここからさらに減価償却の計算をしていかなくてはなりません。

資本的支出の減価償却計算

資本的支出を行った場合、その部分を既存の固定資産と同様に減価償却しなくてはなりません。
このとき、耐用年数は何を採用するべきなのか?その選択肢は、

  • 「当初の耐用年数を使用」
  • 「支出後の耐用年数を使用」
  • の2種類が考えられます。
    以下で、これらの方法についてそれぞれ確認していきます。

    当初の耐用年数による償却

    まずこちら、固定資産を取得した当初の耐用年数を資本的支出部分にも適用します。
    このとき、資本的支出部分については「同じ種類の新たな固定資産」を取得したものとしておき、
    もとあった固定資産とは別個に減価償却をしていくことになります。
    こうすることによって、例えば「もとの建物(旧定額法)」と「資本的支出部分(新定額法)」といったように、
    残存価額が異なる場合にも対応することができます。
    同じものだからって取得価額に完全に算入してしまった場合には残存価額の違いによって計算を分けるのが困難になってしまうため、「当初耐用年数」となったら意識して分けておく必要がありそうです。

    支出後の耐用年数による償却

    よりめんどくさいのはこっちだと思います。
    支出後耐用年数を使用する場合には、まずもとあった固定資産に資本的支出部分を混ぜてしまった方が考えやすいようです。
    そうすると固定資産の取得価額+資本的支出=合計の取得価額という感じになると思います。
    次にここから、「既に償却した金額」と「それぞれの残存価額」を控除します。
    これで「合計取得価額-償却済-残存価額=これから償却する部分」ということになります。
    あとはこれを残存耐用年数で割るだけということですね。
    いろいろと足したり引いたり面倒ですが、「何を控除するか」わかっていれば、
    ここから償却すべき金額は出てくるはずですので、地味にやりこんで考えなくてもわかる!ぐらいまで持っていきたいところです。

    まとめ

    資本的支出と収益的支出に関しては、まず「どっちになるのか」というところがひとつと、
    さらに資本的支出の場合における「2種類の耐用年数」について覚えておく必要がありそうです。
    最初にこの論点に触れたとき(相当昔)にはぜんぜん理解できないし何言ってんの?って感じでしたが、
    問題集とかでゴリ押しした結果、普通に解けるようになってきました。
    案外何とかなるもんなんですね。

    次回は、さらに内容がアレな、「減損」について確認していこうと思います。
    こっちは正直今でも「?」な部分が多いような気がしますので、もう一度しっかり最初から確認します。