FP2級の合格率はどの程度なのか?独学でも合格することが可能なのか?
この「FP2級」という試験に関して、このブログでは「独学で合格可能」という見解を示しています。実際に自分自身も2018年1月の試験で独学で合格できているため、これに関しては間違いということはないでしょう。
しかしながら、ネットで出回っている様々な情報を見ていると、「FP2級の独学は無理、厳しい」といったようなものもちらほら見かけます。
これは一体どういうことなんでしょうか?そう思って少し考えてみた結果たどり着いたのが、FP技能検定の合格率自体が近年上昇傾向にあり、結果として独学でも合格可能に”なった”という予測です。
今回はこの「合格率が上昇傾向?」ということに関して、FP2級と、ついでにFP3級の試験について、長期的な視点から果たして本当なのか、調べていこうと思います。
なお、試験結果データはきんざいのHPでは2013年5月試験の分から、日本FP協会のHPでは2級が2007年5月から、3級は2011年1月分から公表されています。
今回はそのすべてのデータのうち、2級の実技試験課目であるものの、受験者数が少なく、適切なデータが取れないと思われる「中小企業」と「損保」を除いたものを用いて確認していくことにします。
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現状でより合格率の低い「学科試験」で比較してみた
まずは、「完全合格」のネックとなっているであろう学科試験について確認していこうと思います。FP2級・FP3級の試験は、どちらにおいても「学科試験」の合格率が低い、つまり実技試験と比べて合格難易度が高くなっている傾向にあります。
つまり、より難易度が高く合格率の低い「学科試験」をクリアしている受験者は、同時に実技試験も合格できている可能性が高く、そのような方は「完全合格」を手にしている可能性が高いのではないかと思います。
ゆえに、「FP2級の合格率推移」をみるうえで、まずは学科試験の合格率から確認していくことにします。
なお、FP2級・3級の学科試験は、日本FP協会ときんざいのどちらの団体で受験しても同じ問題となっています。ゆえに、FP協会ときんざいで合格率が大幅に違っているのは単に受験者層の差であると考えてよいでしょう。
では、それぞれの団体ごとに合格率の推移を見ていきましょう。
2級(日本FP協会)
参照:日本FP協会HP「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」
驚くことに、2007年から2009年あたり、つまりおよそ10年前ぐらいには、きんざいと比べて合格率が高くなっている日本FP協会の学科試験でも「合格率20%台」という試験結果が何度か発生していたことがわかります。
それがここ2,3年では、合格率が極端に低い実施回はそうそうなくなってきており、低くても35%程度を保っているようです。しかも合格率自体が結構安定してきているような気もします。過去には頻繁に上下していたことを考えると、最近では上も下も飛びぬけた結果にはなっていないようにも見えます。
2級(きんざい)
きんざいの試験結果では、2015年前後の合格率がかなり低迷していたのに対し、ここ数回の試験ではかなり回復してきていることがわかります。
合格率が上昇を始めてからまだ3回ほどしか試験が実施されていないため、単なる”揺れ”の可能性もありますが、何度も述べたように「きんざいの受験者の中には集団で受験し、全く勉強していないにもかかわらず嫌々受験した」というタイプの受験者が多いかのせいが高いはずです。
一向に合格しないはずのそういった方々の分もデータに含まれていることを考慮すれば、その他のちゃんと試験対策をしている受験者の合格率が上昇し、全体のそれを引き上げていると考えて良いのではないでしょうか?
FP2級の学科試験は難易度が下がった?
FP2級の学科試験に関して言えば、合格率がすごく高まっているという感じではないものの、「異常な難易度の試験に当たってしまう」可能性が低くなってきており、FP2級の学科試験に関しては”試験対策をしっかりしておけば安定して合格圏内に到達できる”ようになってきたと考えられます。
また、きんざいで受験した場合の合格率推移からも推測できるように、しっかりした試験対策を行っていれば十分に合格可能な試験となってきている可能性があります。
これは過去の過去問の蓄積などにより、試験対策講座を開講していたり、テキストや問題集を出版している資格スクールが出題傾向などを詳細に把握できるようになってきており、効果的な学習方法を提案できるようになってきていることも要因の一つなんじゃないでしょうか?
講座やテキストが優秀のものになっていくことで、受験者側としては効果の低い試験対策に時間を費やすことなく、より短期間で合格ラインに到達できるようになってきたと考えられます。これにより、たとえ試験そのものの難易度に一切の変更がなかったとしても、合格できる可能性は高まってくることでしょう。
とにかく、学科試験の難易度は様々な理由から”相対的に”過去の試験よりも低下していると考えてよいのではないかと思います。
3級(日本FP協会)
次は3級の学科試験に関して、合格率推移を確認していきます。
参照:日本FP協会HP「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」
日本FP協会のデータでは、FP3級に関しては逆に合格率が低下傾向にあるようにも見えます。
ここ3回ほどの試験ではかなり回復していますが、それでも以前と比べると、低かった実施回と同程度でしかありません。
3級(きんざい)
きんざいの試験結果でも、最近は多少回復しているようですが、全体的に見るとなんとなく合格率が低下してきているようにも見えます。
最も低い2017年の1月試験では、FP2級並みの合格率となっており、難易度が低いといわれている資格試験とは思えない結果です。
FP3級の学科試験については難易度が上昇傾向にある?
FP協会、きんざいの試験結果データから推測できるのは、FP3級の学科試験に関しては「2級とは逆に難易度が上昇傾向にある」ということです。”非常に易しい”とされるFP3級の試験ですが、もしかしたら今後それなりの難易度の試験になってくるかもしれません。
で、具体的にどのぐらいの難易度に落ち着くのか?なんですが、僕が予想する限りでは「日商簿記3級」ぐらいの難易度、合格率になっていくんじゃないかと思います。
これまで、FP3級の試験は”あってもなくても同じ”レベルのものであり、単に2級の受験資格を得るために受験した人がかなり多かったんじゃないでしょうか?
また、以前のFP3級に関する記事でも少し触れましたが、「自分のお金に関する知識を向上させるため」にFP3級を受験している人も多いようですが、そうであったとしてもあまりにも一般的で、誰でも最初からわかっているような内容ばかりが試験で問われるのでは意味がありません。
今後、ある程度難易度を上げて専門的な知識を問いつつ、ちゃんと試験対策をすれば確実に合格できるようにしておく、ということを考えれば、「簿記3級」程度の難易度がちょうど良いんじゃないかと考えた結果、上記のような推測に至りました。
実技試験の合格率はどうか?
続いては実技試験についても合格率の推移を確認していきましょう。
現状、FP技能検定では実技試験よりも学科試験の方が難易度が高いようで、完全合格のためには学科試験がより重要なんじゃないかという感じにはなっています。
しかし、場合によっては学科のみ合格できても実技は不合格だった…みたいなことにならないとも限りません。実技についても難易度の変化について確認するため、合格率がどう変遷しているのか見ておいたほうが良さそうです。
2級の各試験課目
参照:日本FP協会HP「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」
実技試験の試験結果データでは、きんざいの実技科目のうち受験者数が少なく、またデータがない実施回もある「中小」と「損保」については除いてあります。
※FP2級の実技選択に関しては以下の記事から↓
で、グラフを確認してみると「きんざい」の実技試験2課目についてはデータが取得できた期間の短さゆえあまり役にたたなそうですが、「日本FP協会」の資産設計提案業務については”合格率が上昇傾向にある”といって良い形になっていると思います。
FP2級については学科試験の合格率も上昇しつつある感じでしたので、全体的に難易度が低下しているのかもしれません。
※2019年4月追記:FP2級の実技試験のうち、きんざいの「個人資産相談業務」の合格率が異常に低い状況が続いています↓
FP2級 きんざいの実技試験「個人資産相談業務」の難易度が上昇中?
今後もこのような状況が続けば、もしかしたら特に会社などで決まりのない受験者は、日本FP協会の実技試験である「資産設計提案業務」を受験する方が有利、というようなことになるかもしれません。
3級の各試験課目
参照:日本FP協会HP「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」
逆にFP3級の実技試験は、全体的に合格率が低下しているように見えます。個人顧客資産相談業務については同じレンジで上下しているように見えますが、他2つについては低いところが本当に低くなったり、だらだらと低下しているような感じです。
これを見る限りでは、FP3級の試験に関しては「実技試験も学科試験と同様に難化傾向」ということが言えるでしょう。
結論:FP2級に関しては以前に比べて合格し易くなっているはず
結論として、FP技能検定の難易度は2級ではより易しく、3級ではより難しくなってきているということが言えるのではないでしょうか。
で、2級の試験に関しては、合格率が上昇傾向であることからもわかるように「以前よりも合格し易くなっている」はずです。
この原因となっているのが試験自体が簡単な問題、即ち得点し易い問題で構成されるようになってきたのか、過去問の蓄積によって試験対策講座やテキスト、問題集の出題される論点を予測する制度が上がったことによるのかはわかりません。
しかし、以前は独学では効率よく合格ラインに到達することができなかったFP2級の試験も、現在(2018年)の難易度、合格率が維持される、またはさらに易しくなる場合には、十分に自力で合格可能な試験であると考えます。
これが、ネットなどで見つかる「FP2級の独学は厳しい」という情報と、僕の見解の違いにつながっているのではないでしょうか?
※追記
FP3級の試験から始めて独学でFP2級に合格するための行程は以下の記事から↓
独学での合格にはFP3級⇒2級と順番に受験していくことが主流になるため、最初からAFP認定研修を受講して2級の試験を受験する場合よりも合格までの時間は長くなります。
しかし、時間をかけてでも低コストで試験対策をしていきたい場合には「完全独学」も不可能ではないので、受験スタイルの選択肢の一つとして考えておくと良いでしょう。