2018年1月28日に受験したFP2級(ファイナンシャルプランナー2級)の試験についてですが、先程の合格発表を日本FP協会のHPで確認したところ、「完全合格」との記載がありました。初めての受験で学科試験・実技試験とも合格できたということみたいで安心しました。
※日本FP協会、合否照会のページより
ちなみにこの画面には実技・学科試験の得点など細かい部分については言及がなかったため、最大の謎である「実技試験の配点」についての分析は、この後通知が郵送されてくるのを待ってやっていきたいと思います。
※実技試験の配点についての考察(試験終了直後のもの)は以下から↓
FP試験対策 FP2級、実技試験の配点は?
で、せっかくFP2級の試験に「独学」で「一発合格できた」という結果になったわけですから、無駄にうまくいった試験対策の方法や参考にしたテキスト・問題集などについて紹介していきます。
Contents
まずはFP協会・きんざい共通の「学科試験」から勉強すべき
FP2級の試験は学科試験は共通であるものの、実技試験に関しては日本FP協会ときんざい合わせて5種類もあるなかから選択しなくてはなりません。3級の試験から受けていたり、AFP認定研修から入っていたりする場合には、ある程度得意な課目がわかっているかもしれませんが、実務経験などをもとに2級から受験する場合には、どれを受けるか決めかねる場合もあるかと思います。
※FP2級実技試験の選択に関しては以下の記事から↓
5種類あるFP2級の実技試験 選ぶならどれ?合格率は?
そこで、「予備知識がない」という場合やFP3級から受験していたものの、2級の試験では「ちょっと決めかねる」というようなときには、まず共通である学科試験の対策からはじめていくといいかもしれません。
実技にしても学科にしても出題範囲は6課目の幅を超えていくことはありません。つまりすべての範囲から出題される学科試験の対策で6課目全部を勉強していれば、実技試験でどれを受けることになったとしても、その対策は十分に進んでいくことになります。
ちなみにFP2級の試験範囲は以下の6課目となっています↓
- ライフプランニングと資金計画
- リスクマネジメント
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続、事業承継
学科試験では上記のすべてから満遍なく出題されることになりますが、「きんざい」の実技試験を選択した場合には1つまたは2つが除かれてくることになります。また、メインの範囲からの出題割合が大きくもなってくるようです。
なお、FP技能検定では大体学科試験の方が実技試験よりも合格率が若干低くなっています。例えば、僕も受験した2018年1月28日の試験では、学科試験の合格率が45.63%であるのに対し、実技試験の合格率は57.45%(資産設計提案業務)と少し高くなっています。
参考:FP2級合格率推移(実技はFP協会の資産設計提案業務)
日本FP協会HPより作成
上記のグラフは過去3年分の2級FP技能検定の学科試験、実技試験ごとの合格率推移です。実技試験については日本FP協会が実施している「資産設計提案業務」のデータのみとなりますが、見るとわかるとおり、学科試験の方が一貫して実技試験よりも合格率が低いことがわかります。
そうなると先に難易度の高い、というか合格率の低い学科試験について固めておくことで、同時合格の可能性を高めることができるんじゃないかと思います。
ただし、会社などで実技試験の受験科目が定められている場合には、まずそちらの方を重点的にやっていってもいいかもしれません。ですがそういった場合には、もともとその分野の知識に長けているわけでしょうから何ともいえませんが…
FP2級の試験に独学で合格するために使用したテキスト・問題集は合計3冊
次にFP2級の合格までに使用したテキストや問題集、過去問集についてです。独学で合格するために一番重要なのが、テキストや問題集、過去問題集などの参考書籍について適切に、良いものを選ぶというところなんじゃないでしょうか?
特にテキストは試験対策における最初の取っ掛かりになってくるため最強のものを選びたいところです。というか「独学でFP2級に合格できるかどうか」はほぼこのテキスト選びで決まってくるような気がします。
なぜならば試験対策の初めの方は「知識をインプットする」作業になってきますので、そこで効率よく、合格に必要な知識を身に付けていくことができるテキストを選択しなかった場合、その後の問題集などを解く「アウトプット」の作業に移ったときに、問題を解くための基礎的な知識がなく、効率よく苦手な論点や間違え易い箇所を探していくことができないためです。
よって、まずは「テキストの選択」を失敗しないように慎重に選ぶべきでしょう。ちなみに僕はFP3級から受験しているため、そこで使ったテキストのFP2級・AFPバージョンを使いました(詳細は後述)。
で、僕はテキストの他に問題集・過去問集をそれぞれ1冊、合計3冊で勝負しました、お値段は合計で5,000円程度、決して安い買い物ではありません。ただ、税理士試験対策とかその他学術書みたいな、「あまり需要のない本」と比べた場合には随分お求め易い金額になっています。
ちなみに、僕の場合は「時間・金・気力」という3つの重要な要素が欠落していたため、過去問集の購入は試験1週間前と、ぎりぎりのタイミングになってしまいました。その短時間でもかなり役立ったため、もう少し早く購入していればもっと余裕を持って合格できたんじゃないかと思います…
では、ここからは実際にテキストや問題集を使った試験対策の方法(経験則)について触れていきます。
テキストの使い方
FP2級の試験対策として最初に購入したのはテキストでした。僕の場合は3級から受験していたため、そのときに利用したもののFP2級試験対策バージョンである、
滝澤ななみ(2017)「みんなが欲しかったFPの教科書 2級 AFP」TAC出版
を購入して使用しました。正直FP3級の試験はこれ一本、問題集も過去問もなしで普通に合格できましたので、特に書店で吟味したりはせずに購入しました。ちなみに3級の試験では実技試験は満点だったため、このテキスト(FP3級版)だけでそのとき出題されたすべての範囲を網羅していたことになります。
※テキスト購入時の感想等については以下の記事から↓
FP試験対策 2級のテキストと試験内容、3級との違いは?
で、しばらくこのテキストを使って試験対策を進めていったわけですが、FPの試験は6つの範囲に細かく分類されていますよね、なのでひとつの範囲についてテキストを「読み切る」ぐらいであれば昼休みとかのスキマ時間であっても十分にやってのけることが可能です。
従って、このテキストを毎日鞄にインしておき、ほんの少しでも時間があった場合には取り出して読みふけるということをやっていました。ほとんど中毒です。なお、毎日どの範囲をやるかについては、ひとつの範囲をどこに何が書いてあるかわかるようになるぐらいやってから次にいってもいいですし、毎回違う範囲をやっていってもいいと思います。
ちなみに、最初の期間はインプットのみで、次に問題集を購入するまでアウトプットの練習はほとんどしませんでした。やってもテキストで項目ごとの最後についている問題ぐらい。とにかく試験対策をスタートした直後は「重要な語句や数字を覚える」感じでいきました。
問題集・過去問集の使い方
テキストに次いで問題集を購入しました。これが11月の終わり、本試験までおよそ2ヶ月を切ったあたりのことでした。ここからはテキストによるインプットと、問題集によるアウトプットを平行して行なっていくかたちになりました。
で、FPの試験に関して問題集を購入するのははじめてだったので、書店で吟味、
家計の総合相談センター(2017)
「これだけ覚える FP技能士2級・AFP一問一答+要点整理」成美堂出版
というのを購入しました。これは小型の本で「持ち運びが容易」と判断したのも選択のポイントになりました。
※問題集購入時の感想については以下の記事から↓
FP試験対策 FP2級の問題集を購入してみて、感想など
で、この問題集は問題が左ページ、解答が右ページにズラーっと並んでいるわけですが、それをどんどん解答していって、間違えた問題や、解説をみてもっと理解しておかないとまずそうな問題については、問題番号の下にあるチェックボックスに印を入れておきました。
その後、チェックが入っていないところは「ほとんど大丈夫な論点」と判断し、入っている問題のみ解答しながら、何度も廻していきました。
最後に過去問集を購入したんですが、いろいろあって本試験1週間前の滑り込みでやりだす、という非常に残念な事態になってしまいました。で、購入したのは↓
伊藤 亮太(2017)「FP2級・AFP 重要過去問スピード攻略」成美堂出版
そこからは時間の経つのも忘れて(夜は寝ました)「問題集⇔過去問集」と交互に繰り返していきました。
※過去問集購入時の感想等については以下の記事から↓
FP試験対策 FP2級の過去問を購入、内容と感想など
この過去問集、過去の2級FP技能検定で出題頻度が高い問題を吟味して掲載しているようで、短期間でしたが非常に為になりました。また、僕は時間がなくてしっかり読み込めなかったんですが、ボソッと取れるタイプの「重要ポイント集」を本試験会場に持っていくとより役立つことでしょう。
で、この書籍にも解答・解説欄の右上にチェックボックスがあり、間違えた問題などを確認できるようになっていました。しかし解答を見るのは問題を解いた後になってくるので、ぱっと見てチェックが入っている問題がどれか判断しづらい…できれば「問題」側、つまり左ページにチェックボックスがあると良かったです。
それでこちらについてもどんどん問題を解いていって、間違えたりしたらチェックして、と繰り返していったんですが、問題集の効果が出ていたためか、意外と間違えるところが少なくなっていたため、正解できた問題についても2~3回ほど確認も兼ねて解答しておきました。
試験対策期間全体を通して、最終的に合格ラインを超えるために
こうして試験2ヶ月前から始めたアウトプットの練習を、本試験直前で一気にペースアップしていきました。昔どっかで聞いたんですが、「勉強の合計時間が長くなると実力の伸びも一気に増加していく」そうなんです。
つまり試験対策の後半の方が実力、というか得点力というか、そういったものが急成長し易く、本試験1ヶ月前ぐらいに「合格は厳しいかな…」なんて思っていたのが、一気に合格ラインを上回る可能性が十分にあるということです。
なので、試験対策の途中で忙しかったり、体調を崩したりして思うように勉強できず、ちょっと今回の合格ははキツい…的な状況になったとしても、諦めずに少しずつでもやっておけば最後の1週間とか2週間で猛烈に追い上げることがないとは言い切れません。
なお、「試験対策の後半で爆発的に実力が伸びる」という話は、大学受験とかで聞いた「若人」向けの話ですので、「おっさん」になってからは上記の図のような凄まじい効果が得られることは無いかと思います。しかしながら、テキスト等による試験対策によって理解が深まった状態で、問題集や過去問によって追加的な要素が登場したときには、全く予備知識がない状態で突然「問題⇒解説」といったときよりもサッと覚えられることは明白です。
なのでテキストを十分にこなして、ある程度の知識が付いてところからのアウトプット、そして間違えた、つまりテキストでの対策で取りこぼしていたところを追加でインプットする、という手法が効果的であるように思います。
テキストでわからないところはネットで調べる
試験対策をしているとき、テキストを読んでいてわからないところ、何度やっても覚えないようなところというのがどうしても出て来てしまいます。本1冊にダラダラと説明を書いているわけにはいかないため、要点のみの記載となっていることが多く、「急に出てきてもよくわかんない…」みたいな感じです。
そういった論点については関係する省庁や団体のホームページで詳細について調べるようにしていました。FPの試験は出題される範囲が広いため、省庁・団体といっても一つ二つではなく、かなりの数のHPをいつでもみられる状態にしておかなくてはならないというのが大変ですが…
で、こういうところのHPを見ていると「FPのテキストと全く同じ言い回し」のところがあって、周辺にはテキストにおけるその項目の情報よりもさらに詳しく記載されていることが多いため、理解を深めていくのに役立ちます。
参考までに、省庁、団体等のホームページで利用することが多かったものは↓
などといったものです。特に「国税庁HP」は、参考になることがいくつかの範囲で重複していたため、相当回数アクセスしたかと思います。ただ漫然と読んでいるだけでなく、考えて検索することによる「記憶する」効果が期待できますね。
直前対策には本試験形式の過去問も
さて、僕の場合はこれに掛ける時間はあまりなかったので大きなことは言えませんが、どれだけ過去問集を解いていても、何度かは「本試験と同様の形式」での問題を解いておかないと試験慣れができません。
で、過去の本試験問題については試験を行っている団体のホームページから見ることができますので、必ずひと通りは解いておくことをお勧めします。さらに、できれば公開されている分を全部印刷して、何度か解いた方がいいと思います。時間があればですが…
過去問のページは以下のリンクから↓
日本FP協会
日本FP協会HP 試験問題・模範解答
きんざい
金融財政事情研究会HP 試験問題
なお、実際の過去問を解く場合には、「実技試験」の方を優先してやっておきました。この理由としては、問題集や過去問集だけでは5種類もある実技試験では全部の問題に対応することが難しいからです。
確かに、受験者数の多い科目については割りと多くの問題が掲載されていましたが、やはり問題数は十分とは言えず、どうしてもそれだけだと練習不足感が出てきます。そこで試験実施団体で公表されている過去問では「実技優先」としておいたのですが、やはり学科試験の対策で解答に必要な知識は得られていたため、「問題の形式に慣れる」ことを意識してやっていきました。
初見の問題に対応するために
さらに、これについては実際に本試験を受けてみて思ったことなんですが、どれだけテキストを読み込んでも、問題集を周回しても、特にに日本FP協会の実技試験でよく出題されるという「最近のいろんな事情に関連した問題」には対応できません。
よってそういった類の問題に対応するために、日々新聞やニュース、ネットでの記事なんかを見ているときに、「これ、出題されるかも…」みたいなのがあったらしっかり読んでおくと良いかと思います。
また、自分の方からもFPの試験に出題されそうな制度の変更や政治・経済的に関する出来事がないか探っていく必要もありそうです。これに関してはなかなか時間的に厳しそうですが、普段なんとなく意識しておくことで、意外と目に飛び込んでくるかもしれません。
FP2級の試験対策、勉強時間について
さて、FP2級の試験対策に必要な勉強時間は50時間とか、300時間とか、2週間もあれば十分、とかいろいろなことが言われています。果たして実際にはどのぐらいの勉強時間が必要になってくるのでしょうか?
僕の予想では、「FP3級」の試験から独学でやっていく場合、FP2級に合格するまでのトータルで200時間~250時間ほどあれば十分だと思っています。これは3級の試験に申し込んでから試験対策を始めるとして、そこから「昼休み30分以上」と「家に帰ってから1時間程」を2級の試験まで続けていけば達成可能な勉強時間です。
おそらく短期的に集中して試験対策を行っている場合には、これよりも短い時間で合格ラインに到達することも可能かと思います。しかし、あまり時間がとれない状態で昼や夕食後などのスキマ時間を使って独学でコツコツ対策を進めていく場合には、やはり上記のような200時間~250時間程度を確保しておいた方が無難であると考えます。
もちろん、最初に受験するのはFP3級になってくるわけですが、2級と3級は試験範囲が同じであるため、3級でやった内容がそのまま2級の試験対策としても活きてくる事になります。
ですから、独学で素早くFP2級に合格したい場合には、3級の受験から間を空けず、続けて受験することが重要になるかと思います。例えば「5月にFP3級⇒9月にFP2級」みたいな感じです。そうすることによって、3級の試験対策でせっかく覚えた内容を忘れないうちに、そのまま2級の試験の基礎としていくことが可能になります。
しかし、いろいろな都合によってどうしても勉強できない期間があり、試験対策に間が開いてしまうようなこともあるでしょう。僕も途中でぜんぜん勉強できなかった期間がありましたし、過去問に手をつけるのもかなり遅くなってしまいました。それでも追いついて合格できたということは、F多少勉強に間が開いてしまったり、遅れを取ったりした場合でも十分に挽回可能な試験であるということでしょう。
FP2級の試験は一般に言う難関資格の類ではなく、ちゃんと試験対策をやっていさえすれば絶対に独学で合格できる試験であるはずです。
確かに合格するために必要となる勉強時間はその人それぞれの勉強時間の取れ方や試験対策のやり方によって大きく変化してくるとは思いますが、無理して途中で挫折してしまうような方法で行くよりも、自分にあったペースで進んでいくことが大切なんじゃないかと思います。
FP2級の試験に独学で合格するためのまとめ
ここまで長々と書いてきましたが、FP2級の試験に独学で合格するためのプロセスをまとめておくと、
テキスト(1~2ヶ月)⇒問題集(直前まで)⇒過去問(直前まで)
という流れになっていました。もちろん、問題集や過去問で間違えたところはテキストに戻ったり、関係省庁等のホームページで確認したりしていきます。さらに、僕ができなかった「最近の事情に関係する問題」への対応を、試験対策の期間を通して続けていった場合には、相当な確率で学科・実技に同時合格できるものと考えられます。
次回以降の2級FP技能検定に独学で合格しようと思っている方は、スキマ時間とかを利用して結構ゆっくりやっていったとしても、勉強の内容を濃くすればなんとかなる(ただし直前は詰めます)ので是非いろいろと考えて効率よくやってみてください。
なお、この先AFPの認定研修的なものも受けようと考えていますので、それについてもどんな感じか、とか記事にしていこうと思います。
追記
※ AFP認定研修については以下の記事から↓
この後、CFP資格審査試験、1級FP技能検定(実技)についても独学でやっていく予定です。
※CFP資格審査試験・1級FP技能検定については以下の記事から↓
上位の資格となると難易度も上がり、流石にここまで上手く運ぶことは無いかもしれません。しかし、時間をかけてじっくりやっていけばそれらについても独学での合格が狙えるはずです。
こちらについても今後、試験対策の中身なども含めて記事にしていきたいと思います。