宅建試験の5問免除はどのぐらい有利なのか?

宅建試験には、不動産業界の関係者向けに本試験の問題のうち5問が免除、つまり最初から特典が付与される「免除科目」の制度があります。

そして、これはランダムでどこかの問題が免除になるというわけではなく、毎年の試験で決まった内容の問題が「5問免除」の対象となっており、問題の番号でいえば、第46問~第50問の5つがその対象になっているようです。

これはFP2級のような「受験資格」の制度ではなく、全ての人が受験できる宅建試験において、一定の受験者に対してアドバンテージを与える制度になっている、ということになります。

では、もし宅建試験の受験にあたり、この「5問免除」制度の適用を受けることができるとしたら、果たしてそれ以外の受験者と比べてどのぐらい有利になるのでしょうか?

今回は、そんな宅建試験の「5問免除」制度の有効性について調べていくことにします。

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免除科目の内容は?

まず、宅建試験で「5問免除」の内容と、免除を受けるための条件を確認していきたいと思います。

宅建試験における「5問免除」の内容

宅建試験の問題の中で、免除の対象となる問題の番号は第46問~第50問、つまり最後の5問ということになります。「5問免除」の適用を受けている場合には、ここが最初から”得点”ということになり、その受験者は45問中で、「合格基準点-5点」以上の得点で合格ということになります。

つまり、2018年(平成30年度)の試験であれば、通常は「50点満点中37点以上で合格」のところを、「45点満点中32点以上の得点で合格」ということになり、パッと見だけでも一般の受験者に比べてかなり有利になるような気がします。

そして、宅建試験において「5問免除」となる問題の内容は毎年同じジャンルのものであり、以下の範囲から出題されるものがこの免除制度の対象となっています↓

  • 住宅金融支援機構
  • 景品表示法
  • 宅地建物の統計
  • 土地
  • 建物

正直、自分が受験していた本試験の最中には、「土地・建物」以外にはどこがどのように出題されているのかなど考えている余裕はありませんでしたが、「宅地建物の統計」らしき問題が全くわからず、適当にマークしていたのを覚えています。

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で、本試験終了後しばらくしてから、日建学院さんから送られてきた「平成30年度宅建試験 問題・全問解答解説集」によれば、2018年の試験では免除科目においては以下のような出題になっていたとのことです↓

第46問:住宅金融支援機構

第47問:景品表示法

第48問:宅地建物の統計等

第49問:土地

第50問:建物

日建学院(2018) 平成30年度宅建試験 問題・全問解答解説集  3頁

範囲とされている5つの並びどおりの出題です。上記のうち、「土地・建物」つまり最後の2問に関しては、そこまで難しいものではなかったと記憶していますが、試験の実施回によっては相当な難問である場合もないとはいえません。

また、僕は「統計」の問題が確認不足で解答することができませんでしたが、これも直前にしっかり確認しておけば解ける問題であるとのことです。来年以降受験される方は余裕を持って、早めに内容を暗記しておくことをお勧めします。

5問免除を受けるためには?

続いて、宅建試験において「5問免除」の制度の適用を受けるための「条件」についても確認しておこうと思います。

とはいえ、まず前提条件として「不動産業界で何かやっている受験者のみ」ということが挙げられるため、関係ない受験者にとっては本格的に、全く関係ないはずです。僕もそうでしたが、受験を決めた時点で可能性がある場合以外はあえて狙っていくというのは相当に困難でしょう。というか無理でしょう…

さて、宅建試験で「5問免除」を受けるための詳細な条件については、試験の実施団体である「REITO 不動産適正取引推進機構」のHPにおいて、以下のページで説明がなされていました↓

不動産適正取引推進機構HP「登録講習について」

それによると、この「登録講習」を受講することができるのは「宅地建物取引業に従事している方(従業員証明書をお持ちの方)」のみとなっており、無関係の一般人は完全に除外されています。

また、講習自体も「2ヶ月程度の通信教育」と「2日間のスクーリング」、そしてそこで修了試験に合格する必要があるとのことで、一般の受験者が試験合格後に「宅地建物取引士」の資格を得るために必要な「登録実務講習」と同程度のめんどくささであるようです。

また、機構のHPでは特に言及されていませんでしたが、当然お金の方もかかるでしょうね…業者の従業員の方は会社が出してくれるのかもしれませんが。

当該5問の得点率

では、登録講習を受講した受験者が宅建試験において免除となる5つの問題の得点率はどのぐらいあるのでしょうか?ちょっと見てみることにします。ただ、これを何年分も調べていたらキリがないですから、2018年(平成30年度)の試験のものを参照していくことにします↓

日建学院「平成30年度 宅地建物取引士試験 正答率」

第46問:75.7%

第47問:57.4%

第48問:83.0%

第49問:86.7%

第50問:84.5%


日建学院(2018) 平成30年度宅建試験 問題・全問解答解説集  4頁

上記は「一般生」の正答率とのことで、特に試験対策講座などを受講していない受験者がこれだけ高い割合で正解できているということになります。

なお、解答解説集には「日建学院の受講生」の正答率もありましたが、第47問を除いては”ほぼ100%”という結果になっていました。やはりこのようなちょっとした部分でも、独学での受験と比べて講座を受講している場合の方が有利になるようです。

もちろん、今回の試験(平成30年度)のものがいつもよりも簡単で、その分正答率も高かった、ということも考えられますが、5問免除の問題について過去問などを見ていても、”何が答えになるのかよくわからない”統計の問題以外はそこまで難しいと思えるものも無く、本試験の問題も割りと正解し易いといえるのではないでしょうか?

一般の受験者との合格率の差は?

次に、「5問免除」の適用を受けた受験者と、そうでない一般の受験者の「合格率の差」を確認していこうと思います。

これについても2018年(平成30年度)の試験の結果を参照していくことにします。まぁ、宅建試験は合格基準点の変動によって合格率がかなり安定しており、基本的にどの年も同じぐらいの合格率になっていますから、多少の誤差はあれど「1年分の結果」だけで十分にその差を認識できるものかと思います。

宅建試験(2018)全体と「5問免除」の受験者の合格率の差

全体の合格率:15.6%

5問免除の受験者:20.6%

※ちなみに登録講習を受講した受験者を除いた、一般の受験者のみの合格率は「14.06%」でした。

不動産適正取引推進機構「平成30年度宅地建物取引士資格試験実施結果の概要」(pdfファイル)

全体としてみた場合、登録講習を受講した受験者(5問免除)の方が5%高い合格率となっています。そして、免除を受けていない一般の受験者と比較すると「約6.5%」上回ります。

この増分が、宅地建物取引業に従事し、登録講習を経て「5問免除」の権利を獲得した受験者のアドバンテージということになります。

その効果はちょっと微妙と言わざるを得ない…

さて、宅建試験で「5問免除」の適用を受けた場合には、全体と比較して5%、一般の受験者だけの合格率と比べた場合には6.5%、試験に合格できる可能性が高まることがわかりました。

では、この合格率の上昇は「苦労に見合うだけのメリットがある」といえるのでしょうか?

僕個人の感想としては正直なところ、「そこまで有利とはいえないのではないか?」といったところです。

なぜならば、一般の受験者よりもかなり合格率が高いとは言え、5問免除の適用を受けている受験者は”すべて”不動産業の関係者です。そういった受験者の方々は、宅建試験に合格することで得ることができる利益もかなりダイレクトなもの(給与等)だと思いますし、逆に何年も合格できないことで被る不利益も相当なものになるのではないでしょうか?

ゆえに、宅建試験において「5問免除」の適用を受けているのはかなり本気で勉強してきている受験者の方ばかりでしょう。そうなるとこのぐらいの合格率の差は”免除にかかわらず”普通にあるのではないかと考えられます。

逆に言えば、5問免除の適用を受けても合格率が50%とか60%にならないのは「そこ以外の問題」が非常に得点率が低くなっており、合格の鍵を握るのはそれを如何に攻略できるか?であるためではないでしょうか?

そして、その「得点率の低い問題」は、免除とは関係のない「権利関係」の範囲から出題されるものと考えるのが妥当でしょうから、割りと正答率の高い、どの受験者も5問中3問か4問ぐらいは取ってくるようなところが免除されたとて、決定的な合格要因にはなり辛いのではないかと考えます。

ゆえに、宅建試験におけるこの「5問免除」の制度は、一般の受験者と比べてそこまで有利になるものではないはずだ、という結論に至りました。

不動産関係の資格試験は宅建以外にも免除科目がある

最後に、宅建試験以外にも不動産関係の資格試験で「科目免除」の制度があるものが存在することを確認して終わりにしたいと思います。

例えば、以前このブログでも少し触れた「賃貸不動産経営管理士」の資格でも、「管理士講習修了者」に対して4問免除の制度が適用されることになっているようです。

また、「マンション管理士」と「管理業務主任者」の2つの資格試験では、どちらかを取得することによってもう一方の試験で5問免除制度の適用を受けることができるとのことです。

他にも知らないだけで「科目免除」の適用がある資格試験が見つかりそうな気もしますが、とりあえずすぐ手に入った情報はこれだけでした。興味がある方はさらに調べてみると、案外使えそうな資格で免除制度が見つかるかもしれません。

まとめ

今回は、宅建試験において不動産関係者のみが登録講習の修了を経てその適用を受けることができる「5問免除」の制度について、その効果の程なんかを見てきました。

そして、確かに一般の受験者に比べて合格率は高くなるものの、そもそも他の受験者よりも勉強に力が入っているであろう方々がこの制度の適用を受けていることを考えると、そこまで決定的な効果はないのではないか、という結論となりました。

宅建はある程度の勉強時間を確保すれば、独学でも合格できる試験ですが、資格スクールの開講している試験対策講座を受講することによって、かなり合格に近づくことができるものでもあるはずです。

「合格の可能性を高める」という視点で考えた場合、今回取り上げた「5問免除」よりも、「試験対策講座の受講」の方がその効果は大きいのではないか?という感想です。

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