宅建試験は電卓の持込が不可、報酬額の計算はどうする?

いよいよ2018年度の宅建試験が近づいてきました。とはいえ、「権利関係」の範囲でかなり躓いているのに加えて、本試験で最も出題が多い「宅建業法」の範囲でも知らないことがかなり多く、どうやら全部の範囲を1周するのがやっと、という感じで試験に臨まなくてはならない予感です。

で、現在”新たに”躓いている「宅建業法」の範囲でとても困った事態になっている論点があります。それは「報酬に関する規制」の論点で、”電卓の持込が禁止である宅建試験”の割にはかなりの計算をしなくてはならない問題が出題される可能性がある、ということです。

今回は(特に解決になるのかはわかりませんが)そんな報酬額の計算に関して確認すると同時に、そういった出題にどう対応すべきであるのかについて確認していこうと思います。

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Contents

宅建試験は電卓の持込ができない

まず、宅建試験では電卓の持込ができないことについて確認しておきます。

宅建試験を実施している「不動産適正取引推進機構」のHPでは、「宅建試験のFAQ」として試験についての様々な疑問に答えるコーナーが設定されているのですが、そのなかに以下のような記載がありました↓

(4) 法令集・電卓等の計算機類について、試験時間中は机上に置くこと及びその使用を禁止します。

参考:不動産適正取引推進機構HP「宅建試験のFAQ」

これについては、以前資格試験で使用するための電卓等について考えた記事でも少し触れていたかとは思いますが、つい最近まではこの「電卓持込不可」を根拠として、宅建試験ではそんなに難しい、複雑な計算問題は出題されないであろう、と予想していました。

しかし、試験対策が進み「宅建業法」の範囲に到達するとその予想は完全に否定されました…

宅建業法の「報酬に関する規制」概要

次に宅建試験で出題される「報酬に関する規制」についてざっと確認していきます。

宅建業者が宅地や建物の取引を代理・媒介した場合、または賃貸に関する代理・媒介をした場合には、その際に受領できる報酬の額の上限が定められています。

媒介契約の場合の報酬限度額

宅建業者が受領できる報酬に関して、具体的には宅地や建物の売買・交換の”媒介”に関してなんだか複雑な計算式でその限度額を算出するようになっているようですが、速算表というか簡便な計算式で求められるものがテキストに記載されていたため、そちらを確認しておきます↓

不動産の売買・交換を媒介した際の報酬限度額

税抜き売買価格税抜き報酬限度額
200万円以下5%
200万円超400万円以下4%+2万円
400万円超3%+6万円

きんざい(2018)「FP・金融機関職員のための宅建合格テキスト」494頁に基づき作成

不動産の売買・交換を媒介した場合には、上記の計算式で算出された金額を限度として「依頼者の一方」からその金額を報酬として受領することができるようになっています。また、交換の場合には”高いほうの物件”の価格を報酬算定の基礎とすることが可能になっているとのことでした。

代理契約の場合の報酬限度額

続いて不動産の売買・交換を”代理”した場合の報酬限度額についてです。

売買・交換の代理の場合には、媒介での契約で算出される当事者の一方から受領できる金額の「2倍」までが報酬の限度額ということになっています。なお、契約のなかで売買の相手側からの承諾を得ることができれば、そちら側からも報酬を受け取ることができるようです。

ただし、契約当事者の双方から報酬を受領する場合でも、その内訳に関わらず「媒介契約の2倍」までの報酬限度額となっていることに注意する必要がありそうです。

媒介と代理が混在している場合

報酬額の計算をするうえで最も厄介なのが、複数の宅建業者がその取引に関わっており、そのなかで媒介契約と代理契約が混在している場合でしょう。僕は最初この内容についてテキストを読んでも何を言っているのやら…という感じでした。

とにかく、代理と媒介が混在してしまっている場合には以下のことに注意しておけば良いようです↓

  • 代理契約をしている宅建業者が受領できるのは媒介契約で算出される報酬限度額の2倍まで
  • 媒介契約をしている宅建業者が受領できるのは計算どおりの金額
  • 報酬額は「合計で」代理契約の場合の限度額以内でなくてはならない

つまり、代理契約をしている宅建業者が媒介契約で算出される金額以上の報酬を受け取っていた場合、媒介契約をしている業者の受け取ることができる報酬額は計算で導き出される金額よりも少ないものになってしまうということです。

なんともよくわからないルールですが、このような決まりがある以上、特に何も考えずに覚えておくことにします。

賃借の場合の報酬(代理・媒介)

続いては売買等ではなく、「不動産の賃借を媒介・代理した場合」に受領することができる方就学についてです。

まず、不動産の賃借について「媒介」をした場合、その契約の両当事者から受領できる報酬の限度額は「合計でその賃料の1か月分」、さらに片方の相手から受領できるのは「賃料の2分の1ヶ月分」となっています。

つまり、契約のそれぞれの当事者から賃料月額の半分を受領する以外には、完全な報酬限度額を受け取ることはできない、ということになります。

次に、不動産の賃借を「代理」した場合ですが、これについては当事者の一方から受領できる金額について「賃料の1か月分」つまり媒介契約の場合に片方の相手から受領できる金額の2倍となります。

また、売買・交換を代理した場合と同ううをじゅりょうする様、契約の相手方の同意があればそちらからも報酬を受領することができ、その場合の限度額についても「合計で」賃料の1か月分までということになっています。

報酬限度額と消費税

不動産の取引では、消費税法に基づき「土地の売買・交換・賃借」さらに「居住用の建物の賃借」について消費税が非課税となっています。

つまり、それ以外の不動産の取引については消費税が課税されることになり、取引の内容によっては「課税」のものと「非課税」のものが混在してしまう場合があります。そのため、報酬額の計算をする場合には、消費税が課税されている部分の金額を「1.08」で割り戻して計算してやる必要があります。

また、取引を代理・媒介する宅建業者が「消費税非課税業者か否か」によってもその後の計算が異なってきます。具体的には↓

  • 消費税課税業者は報酬額に「8%」を上乗せできる
  • 非課税業者だった場合には「3.2%」を上乗せできる

というようになっています。さすがに宅建試験では基準期間による課税業者か否かの判定までさせてくることは無いかと思いますが、8%とか3.2%とか、電卓が持ち込み禁止の試験でどのように算出させようとしているのか?ちょっと謎ではあります。地道に計算しろ!ってことなんでしょうか?

確認の時間も考えると「1問2分程度」で解かなくてはならない…

さて、上記のとおり消費税に関する事項まで含めるとかなり複雑な計算をしなくてはならない「宅建業の報酬額」についてですが、電卓を使わずに完全に計算していくとした場合、結構な時間を要すると考えられます。

まぁ、実際の試験問題では「誤り」の選択肢はかなりぶっ飛んだ数字になっていたりして、厳密な計算をしなくても排除できるようになっているという可能性もありますが、合格難易度が「高い」とされている宅建試験ですから、本試験で何をしてくるかわかりません、一応「計算が複雑な難問」が出題された場合の作戦を考えておく必要がありそうです。

で、宅建試験の問題数と試験時間を確認すると、50問の設問に対して制限時間は2時間、単純計算で1問あたり2.4分で解答する必要があります。しかも、解答を終えるだけでなく、ケアレスミス等が無いか確認する時間も必要であることから、実際には1問当たり2分程度での解答を要求されているといってよいでしょう。

そうなると、もし上記のような報酬額に関しての複雑な計算を要する設問が出てきた場合には、問題文と選択肢をすべて読んで、それぞれの計算をして、とやっていたのでは絶対に2分以内に当該設問の解答を導き出すことはできないでしょう。

ということは、そのような出題に対してはストレートに立ち向かわず後回しや最悪解答を諦めるといった対応をする必要がありそうです。正解できるかどうかもわからない計算問題をやっているよりは、その後ろの確実に解答できる問題を探していくべきでしょう。

複雑な計算は後回しにする度胸も必要か?

宅建試験は毎年若干の変動はあるものの50問中35点~37点程度で合格ラインに到達する試験ですから、目標とすべき得点は当然「37点以上」ということになります(満点とかは途方もなく無理そうです)。

そうなると、貴重な1点分であるひとつの設問について、完全に手をつけずに飛ばしてしまったり、結果として時間が足りず、手付かずのまま試験を終えてしまうというのは非常に怖いというか危険なにおいがします。

しかし、先程も述べたように「あまりにも時間がかかる」計算問題については、それ以降の解答に影響することも考えると、思い切って飛ばしてしまうほかなさそうです。

なぜならばそこで時間を浪費してしまい、残りの設問について問題文や選択肢を読む時間が少なくなってしまった場合、せっかく解答できる問題も読み間違いや勘違いで失点してしまう可能性が高まってしまいます。

もちろん、今年の受験に関しては「それ以降解ける問題なんて無かった…」という事態も十分に想定できますが、それでも不慣れな「電卓無しでの計算」に固執するよりも、残りの問題に時間をかけたほうがちょっとは得点を伸ばせる可能性が高まるでしょう。

ということで、「報酬額の計算」に限らず、問題をさらっと読んでみて時間がかかりそうな設問については、完全に後回しにしていく方向でいきたいと思います。

まとめ

宅建試験の本試験当日が近づくにつれ、内容に関して難しすぎるとか覚えられないものに加えて、問題を解くうえで困ってしまうようなことが次々に発生しています。

正直この試験の難易度は以前受験したFP2級などとは比べ物にならず、日商簿記2級と比較してもちょっとどうかな…といった感じです。

さらに、「電卓禁止」ということで、苦手な計算問題が出題されないはずだ、という予想もはずれ、ちょっとどうしようもない状態になっています。

試験まであと少しですが、合格できるかどうかはさておき、なるべく得点を伸ばせるようにしていきたいところです。

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