FP2級の試験を受験する場合には、FP3級試験の合格やAFP認定研修の修了をはじめとした「一定の受験資格」を満たしている必要があります。つまり、FP2級は”誰でも受験できる”というわけではないということです。
もちろん、多くの受験者の方は「FP2級の受験資格」を満たすにあたり、上記2つの要件を達成してくることかと思います。しかしもうひとつ、現在でも達成可能な条件として「FPに関係する業務の実務経験」があります。
今回は、この「FP2級の受験資格を満たすための実務経験」がどのようなものであるのか?について確認していきます。
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FP2級の受験資格には「4つの要件」がある
まず、FP2級を受験するために”どれかひとつはクリアしておかなくてはならない条件”を確認しておきます。
この条件には4つのものがあり、それは以下のようなものになっています↓
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を終了した者
- 3級FP技能検定の合格者
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
上記のうち、4つ目にある「金融渉外技能審査」は現在は実施されていないとのことですが、過去に取得したものが現在でも有効だそうですので、もし受験した記憶のある方は合格証書を探してみると良いかもしれません。
また、「AFP認定研修の修了」に関しては言うまでもありませんが、これは後々日本FP協会認定の「AFP」として活動するために必要になってきますから、FP2級の受験前に済ませるか受験後に回すのかは判断が分かれることになるでしょう。
なお、これら4つの受験資格について詳しくは以下の記事でまとめてあります。よろしければご参照ください↓
で、今回の記事で取り上げていくのは上記の3つ目「FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者」ですが、以下ではこれが具体的にどのようなものなのかについて確認します。
FP業務に関する実務経験とは?
では、この「FP業務に関する実務経験」というのは一体どのような経験を指すのか?これについて日本FP協会のHPでは以下のような例が挙げられていました↓
次のいずれかに該当する場合、おおむね「実務経験」として認められます。
日本FP協会HP「実務経験について」
・証券会社、保険会社、銀行、クレジット会社などの金融機関に勤務している 方
・保険会社(代理店)の職員
・税理士、弁護士、司法書士、行政書士などで、資産に関する相談業務に従事 している方
・会計事務所の職員
・不動産会社、建設会社など土地建物取引・建築・相談業務に従事している方
・投資顧問会社の職員
・生活協同組合などの共済等の担当職員
・商品先物取引会社の職員
・一般事業会社および官公庁の福利厚生担当者および、金融・財務・経理担当 者
・商事会社の商社金融担当者、商事会社やコンピュータ会社等の金融機関営業 担当者および、ソフト開発担当者
どうやら「FP業務に関する実務経験」としてみとめられるものはかなりの数があるようですが、上記引用のうち「おおむね…」という記載が非常に気になります。
これは上記の業務に該当するものであれば”そのほとんど”がFP2級の受験資格を得るための実務経験として認められるものの、場合によってはそうならないこともある、ということなんでしょうか?
これについて、残念ながら試験実施団体である日本FP協会のHPでは、「実務経験であるか否か」についての具体的な判断基準などは見つかりませんでした。
自分が従事している、またはしていた業務がFP2級の受験資格を満たす程度のものなのか?明らかにそうであるという場合を除き、判断に困ってしまうようなことがないとは言い切れません…
FP2級の受験にあたり、実務経験を証明する証明する書類等の提出は不要…
さらに、FP2級の試験を受験するにあたっては、この「実務経験」に関しての証明書類等を送ったりする必要はなく、完全に自己申告で「FP業務に関し2年以上の実務経験がある者」であるということを主張することになります。
そうなると、「○○であることを証する何か」を提出しなくてはならないというタイプの試験と比べて、「ほんとに受験資格として認められるの?」という疑問はより一層深いものとなります。
もちろん、どのような内容であってもそれをもとに受験申請するからには「仕事として」やっていた何かであるはずですが、それでも「後で物言いがつかないか?」など不安になるかもしれません。
また、書類の提出を必要としない以上、有資格者の印鑑を貰ったり関係する機関からの証明などを受けられる可能性はありませんから、そういった点でも判断に困ることになります。
というように、FP2級の受験資格を満たすために必要な「実務経験」については何とも曖昧な感じですが、日本FP協会ではこの実務経験の申告について「ご自身でご判断ください」としています。
これはつまり、自分の従事している/していたものが自分で「FP業務に関する実務経験である」と判断できる合理的な理由があればOKであるということが言えそうです。
自分で「これは実務経験だ」と判断できればOKらしい
FP協会の言う「ご自身でご判断ください」というのは、FP2級の受験資格を満たすための「実務経験」の判定において、証明書類等の提出を求めないだけでなく、その判断基準についても各自に任せる、と解釈できそうです。
つまり、自分の「経験」がどのようなものであれ、それを自分で「これはFP業務に関する実務経験である」と考えることができ、その理由を聞かれたときに十分な説明をすることができればOKということでしょう。
もちろん、「虚偽・不正」や、FPの業務に一切関係が無く明らかに実務経験として認められない業務をもとに受験資格を満たしているかのように装うことには問題があるでしょう。
さらには上記の引用で示されている具体例から大きく外れるものも受験資格としては使わない方が無難だとは思います。
しかし、「これは認められそうだが実際はどうなんだろう?」「自分ではそうだと思うが客観的にはどうだろう?」などと考えるような業務経験がある場合、それらは特に問題なく「FP2級の受験資格」として良いのではないでしょうか?
とにかく、FP2級の試験を受験するにあたり「実務経験」として申告することができるものは幅広くかなりの数があることから、一概にどれがOKでどれがNGとは言い切れないでしょう。
やはり、FP協会のHPにもあるように「自分で判断」して、これなら認められるであろうというものがある場合にはそれを受験資格として使い、「ちょっと無理そうだ…」と思う場合には、FP3級を取得するかAFP認定研修を修了する作戦でいくべきでしょう。
特に確認の書類が必要ないということは、試験実施団体は「受験者を信用して」このような受験資格を設定していると考えられます。どのような判断をするかは受験者次第となりますが、明らかに不足するものや虚偽・不正となるような行為は絶対に避けなくてはなりません。
まとめ
今回はFP2級を受験するために必要な受験資格のうち、「2年以上の実務経験」に関して取り上げました。
4種類(実質3種類)あるFP2級の受験資格ですが、この実務経験に関しては証明する書類の提出も不要であり、どこか曖昧な感じになっています。
一応、日本FP協会のHPには実務経験の具体例が記載されていたものの、決まった書類の提出が不要である以上、自分の業務経験が本当にそれに該当するのかの判断ができません。
しかし、「ご自身でご判断ください」とあるように、この実務経験に関しては完全な自己申告であり、該当するかどうかの判断は受験者個人に任されているようです。
それゆえ、自分で「これなら大丈夫であろう」というものがあれば、積極的にそれを受験資格として申請していくべきといえるでしょうが、やはり「自己申告であるが故の慎重な判断」というものも必要となってくるはずです。
もし、「ちょっとこれだと怪しいな…」という場合には、比較的簡単で短時間の勉強で合格可能なFP3級を取得しておくべきかもしれません。そうなると実際にFP2級を受験できるのはその次の試験実施回となってしまいますが、「確実な受験資格」ということを考えた場合には無難な選択といえるでしょう。
最後に、この先FP2級の受験を検討しているという場合には、自分の業務経験が受験資格に該当するのか?ちょっと考えてみてはどうでしょうか。「意外にも該当する」なんてことがあるかもしれません。
また、周りに実際にFPとして業務をこなしている方が居られるような場合には、そういった方に聞いてみるのも良いのではないでしょうか?