FP2級の試験は過去問だけで攻略できるのか?

FP2級の資格を取得してから既に1年が経過しました、この資格の試験対策には結構な時間を要したこと、また、このブログを始めて最初に受験した資格試験であることなどから、かなり思い入れがあり、度々記事に取り上げています。

さて、FP2級の試験といえば「時事問題」つまりそのときの法制度や世間一般の”お金に関する”事象の状況に合わせた問題が出題される、ということもあり、試験に合格するためには日々のニュースや関係省庁のHPなど、様々な媒体から、常に最新の情報を集めておく必要があるように思えます。

しかし、FP2級の本試験で出題される問題のうち、かなりの部分は「過去のも出題されたことがある」ファイナンシャルプランナーとして何かをしていくうえで非常に重要な論点からの出題となっているようにも思えます。

そんなわけで今回は、FP2級の試験は「過去問をしっかりやっていくだけで合格できるのか?」ということについて考えていこうと思います。

僕自身、FP2級の試験対策では「最後の1週間だけ」使用した過去問集にかなり助けられたはずです。しかしながら「試験対策期間全てを通してそれだけ」というのはいかがなものか?過去の試験における出題の状況などから確認していきます。

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FP2級の試験では「時事問題」が必ず出る?

まず、「過去問演習だけ」の試験対策をしていくと考えた場合、ちょっと引っ掛かるのが「FP2級(FP3級も)の試験では時事的な問題が出題される可能性が高いとされている」ということです。

当然ですがそのような問題に対しては、日々のニュースや関係省庁のHPにおける最新情報など、過去問集では絶対に対応できないような試験対策が必要になってきます。

もし、過去問演習のみに集中し、時事問題等の対策を全くしなかった場合には、特によくそういった問題が出題されるといわれる、実技試験の「資産設計提案業務(日本FP協会実施)」などではそれ相応の失点をしてしまう可能性があることを意識しておかなくてはなりません。

過去問題集に収録されないような「マイナー論点」もありうる

また、「時事問題」等ではないにしても、FP2級の本試験では「過去問題集で扱われないような出題頻度の低い、マイナーな論点」からいくつか問題が出題される可能性があります。

これはきんざいや日本FP協会などといった試験実施団体のHPなどで公開されているような「実際の試験問題」を何年分も確認したのであればそのような問題の存在と解答に必要な要素を確認することができるかもしれません。

しかしながら、「市販の過去問集」を用いて試験対策をする場合には、収録できる問題数にも限りがあるはずですし、何よりも「効率的な試験対策」を意識しているはずですから、頻出の問題に限り掲載されており、「マイナー論点」については扱われていないものもあるはずです。

そうなると、市販の過去問集のみをでの問題演習では十分な対応が取れないことになり、そのような問題に関しても出題された数だけ失点してしまう可能性が高いということになります。ここも問題点のひとつといえるでしょう…

学科試験における「過去問で対応可能」な問題の割合

さて、FP2級の試験において、実技試験と比べて比較的難易度の高い傾向にある学科試験の出題傾向から、「過去問だけ」の試験対策をした場合の効果を見ていくことにします。

ちなみに、FP2級(FP3級も)の試験では「日本FP協会」と「きんざい」の2つの試験実施団体によって試験が執り行われていますが、5種類あるうちから選択する実技試験に対して、学科試験に関してはどちらの団体で受験しても全く同じ試験を受けることになっています。

つまり、団体ごと学科試験の合格率が異なるのは、その受験者層の違いによるものであり、”試験の難しさ”が異なるものではないということです。

で、そのFP2級の学科試験は全部で60問の出題があり、そのうち36問以上を正答することで合格、ということになっています。つまりは、全体の問題のうち「60%以上」の正解ががわかれば、マークシートのミスなどがない限りは合格できるということになります。

では、そのうち「過去問演習によって解答できるような問題」というのはどのぐらい出題されるものなんでしょうか?直近の試験である2019年1月の本試験問題を元に確認してみることにします↓

※2019年1月実施 2級FP技能検定 学科試験本試験問題(日本FP協会のpdfファイルです)

で、上記のリンクにある問題を、ちょっと古いものですが僕がFP2級の試験を受験したときに使っていた過去問題集の収録問題と見比べ、そこにある内容で解答できる問題とそうでない問題に振り分けてみました。

その結果として↓

  • 過去問集に収録されている問題・解答・解説等の知識のみによって正解にたどり着くことができる設問:「41問
  • 正解するための知識がない設問:「19問

という結果になりました。過去問集に収録されている問題から得られる知識のみでも一応、合格ラインである「36点以上」の得点を得ることができるようです。

なお、「正解できない…」としている問題の中にも、過去問集自体にその知識はないものの、普通に考えれば正解できるものや、消去法によってある程度まで選択肢を絞ることができるものが4問ほどありました。

そして、それ以外の「解けない」問題については、どちらかといえば「時事問題などではなく、マイナーな論点ばかり」という印象でした。時事問題については学科試験ではなく実技試験を狙ってくることが多い、ということでしょう。

また、「マイナー」というだけでなく、問題自体が細かい知識を必要とするものであったり、「不動産」の範囲では宅建試験の権利関係の範囲で出題されてもおかしくないような問題が見受けられました。

そういった問題については過去問集のみならず、テキストや問題集等でも取り扱われていない内容であるかもしれませんので、「明らかに知らない…」ものについては素直に飛ばして、後で「今ある知識」を用いてじっくり考える作戦を取るべきでしょう。

これは過去問集の内容を全部覚えられればのハナシ

今回はちょっとした検証の結果でしたが、ひとまず2019年1月のFP2級試験(学科)では、僕が以前使っていた過去問集に収録された問題及びその解答・解説のみの知識で合格点を超えることができる、ということがわかりました。

しかし、これは「過去問集の内容を、一字一句すべて覚えて本試験に臨んだ場合」のものであり、実際には人間の頭がそのような高いパフォーマンスを発揮することはまずないのでは?と思います。

そうなってくると、上記の「過去問集の知識だけで正解可能な問題(60問中41問)」のうち、いくつかは「ど忘れ」や「単純な勉強不足」等によって失点してしまうのが普通といえるのではないでしょうか?

そしてそれは、FP2級の学科試験における合格点は「36点」ですから、あと6箇所「あ~、これは違ったな~」なんてところがあった場合には「不合格」となってしまうということです。

もちろん、過去問集の内容をかなり時間をかけて全て暗記し、本試験当日にも「問題文の読み間違い」や「何か変な勘違い」等をしなければ「合格ラインより上」ということではあるのですが、果たしてそれが可能かどうか?というと、かなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。

やはり過去問だけでは厳しい、テキストや問題集との併用を

というわけで、今回は2019年1月試験のみでの検証でしたが、「過去問集による問題演習だけで本試験に臨むのは厳しいのではないか」という結論に至りました。

その最大の要因としては、たとえ過去問集の知識をフル動員したとしても得点は「41点」であり、すべてを覚えることがかなり困難であることを思えば、合格できるかどうか、ちょっと微妙なラインに立たされてしまうということが挙げられます。

そのことは、たとえ「常識的な判断」で正解にたどり着くことができる問題が1つや2つあったところで変わらないでしょう。

また、相当に時間をかけさえすれば「過去問集の内容を全て覚える」ということが不可能ではないのかもしれません。しかし、FP2級の試験対策用としては過去問集以外にもテキストや問題集等、かなり使い勝手の良いものが数多く出版されているはずです。

無理やり過去問集だけを用いて試験対策を進めていくよりも、そういったテキスト・問題集と過去問集を「併用」していった方が、絶対に効率よく合格ラインに到達することができるはずです。

僕が実際にFP2級の試験を受験した際にも、テキスト・問題集・過去問集の各1冊づつを用いることで、勉強時間こそFP3級のときから合算するとかなりかけましたが、無事に一発で合格することができました。

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ですので、このブログにおいては「FP2級の試験に過去問演習だけでチャレンジする」ということはお勧めしませんし、逆にテキスト・問題集・過去問集(または試験実施団体HPなどで見ることができる過去問)を併用して試験対策を進めていくべきだと考えます。

まとめ

今回は、FP2級の試験は過去問演習のみで攻略可能なのか?ということについて考えてみました。

そこでちょっとした検証をした結果、以前僕が使用していたか顧問集の内容を”完全に”覚えることができるのであれば、2019年1月に実施された学科試験については合格できる、という結果になりました。

しかし、その「過去問集の問題・解答・解説」を全て覚えて本試験に臨むというのは相当に困難なことですし、できたとしても普通にテキスト等と併用で過去問対策をしていった方が効率が良いはずです。

そのような理由から、このブログでは「FP2級の試験に過去問だけでチャレンジするのはお勧めできない」という結論に至りました。

もちろん、もっといくつもの過去問集を用意し、試験問題自体も過去何年分も使ったような検証をしたのであれば、結果が違ってくるということはあるかもしれません。

ただ、個人単位でそこまでやるのはちょっと厳しいので、そういった「徹底的な検証」についてはどこかしかるべき機関にお任せします。

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