行政書士試験の勉強を始めてから結構な時間が経ちました。11月の本試験に向けて学習計画を立て、それに基づいて試験対策を進めてきましたが、今月以降は「行政法」を中心に勉強していくことになります。
で、これまでも8月に試験対策の取っ掛かりとしてやった「全試験範囲1周」や、この間学習計画を少し修正したため、行政書士試験のメインである「行政法」には多少は目を通してはいました。
ですが、ここからはいよいよその行政法を中心に勉強していく期間です。
民法のいくつかの論点とは違い、行政法は昨年宅建を受験したことによるアドバンテージもありませんし、憲法のときのように「どこかで聞いたことがある」というようなこともありません。完全に真っさらな状態からスタートしました。
そしたらまずは何をするか?ややこしいところをブログに「記事」というかたちで書くことによって覚えていくことになります。
ということで今回は、行政書士試験の行政法の範囲で、さらにその中の行政事件訴訟法のさらにさらにその中の、取消訴訟における「要件審理」について↓
- 処分性があるかないか
- 原告適格があるかないか
- (狭義の)訴えの利益があるかないか(失われるかどうか)
の3点について、それぞれ判例をもとに確認していくことにします。
Contents
処分性の「あり/なし」
まず、取消訴訟における「処分性のあり/なし」について確認していくことにします。
行政庁が行った何らかの行為が「取消訴訟」の対象になるためには、「処分性」がある、つまり「行政庁による処分」でなくてはなりません。
で、「行政庁による処分」がどんなものなのか?これに関しては判例があったためそちらの方を参照したいと思います↓
…行政庁の処分とは、所論のごとく行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものであることは、当裁判所の判例とするところである…
大田区ごみ焼却場設置事件(昭和39年10月29日)
なんだかよくわかりませんが、とにかく権利義務の形成とその範囲の確定が大事そうだということは読み取れます。
ではこれをもとにして、判例で「処分性がある」としたケースと「処分性がない」としたケースをそれぞれ見ていくことにします。
処分性があるとしたケース
- 保育所の廃止を求める条例の制定
- 病院を開設使用とした者に対する中止勧告
- 土地区画整理事業の決定
- 道路とみなす道の告示による一括指定
- 税関長による輸入禁制品に該当する旨の通知 など
処分性がないとしたケース
- 用途地域の指定
- ごみ焼却場の設置
- 水道料金の改定を内容とする条例の制定
- 通達
- 反則金の納付通告 など
処分性の有無については個別に覚えるしかないか・・・
行政庁の行った行為に処分性があるのかどうかということに関しては、上で挙げたものを比較してみても、「なんとなく処分性がありそう/なさそう」ぐらいの感覚しか得ることができません。
もっとこう、「こうなったら処分性あり」みたいな明確な定義があるといいんですが、今のところそういったものは見つかりそうもありません(ホントはあるのかもしれませんが)。
ということで、行政書士試験対策としてこの「処分性」に関しての勉強をしていくうえでは、判例集などを元に、地道に時間をかけて覚えていく他なさそうです。
原告適格の「あり/なし」
続いて、行政事件訴訟法における要件審理のうち「原告適格」のありなしについて見ていこうと思います。
原告適格があるのかどうかについては、「その訴訟を提起することができる法律上の利益を有する者」であることが必要なわけですが、その法律上の利益の有無を判断するに当たっては、処分の根拠となる法令の文言だけでなく↓
- その法令の趣旨
- その法令の目的
- 処分において考慮されるべき利益の内容と性質
を考慮しなくてはならない、ということになっているそうです。
で、それらも踏まえて「原告適格」の「あり/なし」を判断するということになるんだと思いますが、以下で具体的にどのような例で原告適格があるとされたのか?またはないとされたのか?を見ていこうと思います。
原告適格ありとしたケース
- 様々なケースで生命や身体に被害を受ける可能性のある住民(いくつかの例あり)
- 新規業者への公衆浴場の設置許可についての周辺既存業者
- 自転車競技の場外車券場の設置許可に関して、周辺に医療施設を設置している者 など
原告適格なしとしたケース
- 新規業者への質屋の営業許可についての既存業者
- 一般消費者
- 自転車競技の場外車券場の設置許可に関して、その周辺住民
- 特急料金の改定に関して通勤定期の利用者 など
狭義の訴えの利益の「あり/なし」
最後に、「狭義の」訴えの利益に関してです。これは原告適格と似たようなものだとは思うのですが、何かがあることによってその利益が「失われる/失われない」という点について差がありました。
訴えの利益が失われないケース
- 公務員の免職と本人の死亡
- 公務員の免職と本人の公職選立候補
訴えの利益が失われるケース
- 生活保護の変更と本人の死亡
- 皇居外苑の使用不許可と予定日の経過
- 保育所の廃止と保育機関の満了
- 建築確認と工事の完了
- 開発許可と工事の完了 など
まとめ
行政書士試験における「行政事件訴訟法」の要件審理では、かなりの数の判例とともに「あり/なし」を分類しなくてはならないものがいくつも出てくるようです。
今のところ、上記の「テキスト等でよく見るもの」ぐらいしか知識としてはありませんが、これから勉強を続けていけば、この論点に関してかなりの数の判例に出くわすことになりそうです。
あと2週間ちょっとしか時間がない今年の本試験までにはそこまで多くのものを認識することは叶わないかと思いますが、来年に向けて地道に知識を蓄えていこうと思います。