FP試験対策 金融資産運用⑤~企業価値や株価水準を判断する指標~

今日は金融資産運用のうち、株式に関する話です。

※金融資産運用に関する過去記事は以下↓
FP試験対策 金融資産運用① ~大量の経済指標~
FP試験対策 金融資産運用②~貯蓄や投資、消費に関する保護制度~
FP試験対策 金融資産運用③~債券の価格とリスク、格付け~
FP試験対策 金融資産運用④~債券の利回り計算に関する考察~

株っていうと投資の代名詞みたいな感じでして、
毎日のニュースで「今日の日経平均終値は~」とやっています。

でも、この株式に投資するにあたって追求する利益ってみんなバラバラですよね。
テクニカルを駆使してデイトレードで短期的な利益を!とか、
株主優待を狙ってつなぎ売り♪とかですね、

そのようにいろんな投資スタイルがあるなかで、
結構な割合の方が意識していると思うのが、
「その企業の価値」とか
「株価は割安?割高?」とか
「ちゃんと配当してるのか」
というような、その企業の本質的な部分なんじゃないでしょうか。
もっとも、企業の価値だの割安性だのを測るためには、
成長性や収益性から経営戦略に至るまで、複雑に絡み合う様々な要素を総合的に判断していかなくてはなりませんし、
個人単位の力でそんなことができるはずはありません。
じゃあ何か参考になる数値とかってないの?ってことなんですが、
やたらにたくさんあります。見たことあるのだけでも30種類近くあるんじゃないでしょうか…
そんなのをひとつづつ確認していったら来年になってしまいます。
で、FP2級の試験対策テキストにも企業価値を示す指標がいくつか載っていましたので、
おそらくその辺が試験に出題されるやつなんだと思います。
ゆえに、今日はそのテキストに載っていた指標(5つ)について確認していこうと思います。

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PER:株価収益率

いきなり変なアルファベット表記のやつなんですが、
基本的にこの手の指標はこんなんばっかです。

PERは「price earning ratio」の頭だけ持ってきたらこんな感じになったようです。

この指標の示すものは、株価を一株あたり純利益で割った値となり、
この数値が低いほど株価は割安と言えることになります。
「割安」の目安がいくつぐらいなのかというと、
PERが20以下になったら割安といえるとのことです。
この数値が20ってことは、年間で株価の5%を稼いでるってことですよね。
目安ギリギリのとこでも結構稼いでる気がしますが、どうなんでしょうね。

ちなみにここでさりげなく登場した「一株あたり純利益」にも、
「EPS:earnings per share」という表記があります。
このEPSには実は2つあって、
普通株式のみのEPSと潜在株式調整後のEPSの違いに注意する必要があるとのこと。
たぶんFP試験には出ないでしょうからどうでもいいんですが…

PBR:株価純資産倍率

こんどは「price book-value ratio」の略ですが、
さっきのPERでは英語表記からなんとなくいいたいことが想像できたのに対して、
こっちは意味不明です、何ブックバリューって…マッ○スバリューなら知ってますが。

これは株価を一株あたり純資産で割った値で、
株価、つまり一株あたりの市場価値がその帳簿価格の何倍になっているかを示すものです。
これが1倍に近づけば割安といえる、とのことですが、
がんばってるのにまともに評価されていない企業などは1倍を割り込んでいることもあるでしょう。

そしてもちろん「一株あたり純資産」にも、
「BPS:book-value per share」という表記があります。
BPSは企業の解散価値とも取れることから、PBRが1倍を切っているのであれば、
企業を買収して直ちに解散してしまったら非常にお得、ってことですが、
ここには帳簿上時価評価しない資産の含み損益が含まれないため、
そんなうまくはいかないし、PBR自体PERの補完的指標として捉えるべき。
みたいな話でした。

ROE:自己資本利益率

こいつは「return on equity」の略で、
株主資本をもとにしてどれだけ稼いだかということを示すもので、
税引後当期純利益を自己資本で割った値になります。
ちなみに何%といった表し方をします。

なんで”税引後”の純利益を使うのかということについては、
「最終的に株主に行く利益は債権者に対する支払や税金を払った後の利益」
だからだそうです。
尚、「自己資本」については、株主資本とその他の包括利益累計額を足したものになるとのこと。
このあたりもFPの試験には関係なさそうですね…

配当利回り

株式を長期保有してインカムゲインがザックザク!
などということを考えている場合には、
正直この「配当利回り」が最も気になる指標なんじゃないでしょうか。

これは文字通り株価に対する配当金の割合を示すもので、
一株配を株価で割ることによって算出できます。

今となってはどうかわかりませんが、
リーマンショックによる株安が進んでいた頃にダメージが少なかった企業については、
配当利回り5%とか6%なんてのがごろごろあったんじゃないでしょうか。

配当性向

これは「税引後当期純利益に対する配当金の割合」を示すものです。
ここでも”税引後”の利益が使われていますね。

近年、日本の企業において「内部留保」の多さが問題視され、
内部留保に対して課税するぞ!と脅しがかかっていますね。

逆に、「内部留保」されなかった部分については配当として出て行くことになり、
その割合が多ければ配当性向、すなわち株主への還元率も高くなるということです。
実際にはもうちょっと複雑ですがざっくり言うとこんなところでしょう。

これについては試験対策上は簡単な話なんですが、
僕はどうも最近の内部留保を何とか吐き出させようという流れに納得できません。

これまでの日本型企業経営においては、
内部留保を溜め込むことで財務の健全性を高め、
「無借金企業」とか「実質無借金企業」とかいって喜んでいました。

そして最近では、この内部留保を賃上げや株主への還元によって吐き出させることで経済の活性化につなげよう!
といった流れのようですが、
たぶん、というか絶対「賃上げ」の方にはいかないでしょうし、
株主還元と称してハゲタカファンドみたいな奴等に栄養を全部吸いだされた挙句、
抜け殻になった日本企業の株は限界まで売り浴びせれれる、
という事態になりそうな気がします。

難しい理論は抜きにして、こうなってしまってはお終いだと思いますので、
ちょっと、今の流れは慎重考え直したほうがいいんじゃないかなって気もします。

今日のまとめ

株式投資に用いることができる指標は数多くあり、
そのなかでも代表的な、有名なものがFPの試験には出題されるのでしょう。

今日挙げた指標はテキストに載っていたもののみですが、
これらがどのような形で出題されるのか、
学科試験なのか実技試験で出るのか、
といったことは過去問をやっていないのでまだ不明です。

しかし、その指標がどんなもので、何を示すのかといった基本的な部分がわかっていれば十分対応できるものと信じて、株式投資に関してはこの辺でいいにして、次の論点に移ろうと思います。

※参考文献:伊藤 邦雄(2014)「新・企業価値評価」日本経済新聞出版社

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