簿記試験対策「ソフトウェアの処理③」受注制作のソフトウェア

その製作目的に応じて会計処理が3種類に分かれてくるソフトウェア、「自社利用目的」「市場販売目的」ときて、今回は最後の「受注制作のソフトウェア」について確認していこうと思います。

※ソフトウェアの会計処理についての関連記事
簿記試験対策「ソフトウェアの処理①」自社利用のソフトウェア
(↑日商簿記2級はここだけ)
簿記試験対策「ソフトウェアの処理②」市場販売目的のソフトウェア

で、この受注制作のソフトウェア、工事契約における会計処理に基づいて処理が行われることになるため、場合によっては「工事進行基準」についてもわかっていないと解答を進めることができません。「工事契約」については、ここだけでやると長くなって厄介なので、今度それについて記事にしていきます(できたらここに貼ります)。

では、受注制作のソフトウェアの処理について、順に確認していきます。

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受注制作のソフトウェアとは?

受注制作のソフトウェアは、顧客から「~~な感じのソフトを作って欲しい!」みたいな感じで頼まれて作るソフトウェアのことです。この辺のやり取りが実際にどのようになっているのか?IT関係の仕事をしている方にしかわからないことだと思いますが、このソフトウェアの作成に関する契約が「工事契約」と類似したものであるとされていることから、会計処理もそれに準じたものとなっています。

(2018年3月5日 追記)
※工事契約の処理に関しては以下の記事から↓
簿記試験対策「工事契約」~工事完成基準と進行基準~

で、この会計処理について「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」では、

受注制作のソフトウェアについては、請負工事の会計処理に準じた処理を行うこととした。

中央経済社 編(2012)「会計法規集」62頁

とだけ記載されています。他の2つについては結構ごちゃごちゃ書いてあるのに、これだけ妙にさっぱりしています。完全に「工事契約に関する会計基準」の方に依存してるってことなんでしょうか?

で、工事契約と同様の処理をするということは、「工事完成基準」なのか「工事進行基準」なのかによって大分違うものになってくるはずです。従って、以下でその2種類の処理についてそれぞれ確認していきます。

工事完成基準による場合

工事完成基準に基づいてソフトウェアの受注制作を行う場合は、それが完成し、納品されるまで収益や原価を計上することはできません。よって、作成途中で決算を挟んでくるような場合には、発生した原価の分を「仕掛品」として処理しておきます。そして、最後の完成・引渡しをもって原価と収益を一気に計上することになります。

では、工事完成基準の場合について、設例で確認していきましょう↓

 当社は得意先からソフトウェアの制作を請け負った。請負金額は10,000円、各期の費用発生額は以下の通りである。

費用発生額
請負年度3,000円
翌 年 度2,000円

※工事完成基準に基づいて処理する

ソフトウェア制作の請負金額が10,000円であるのに対して、費用の発生額(工事原価)はトータルで5,000円、差引5,000円の利益が生じることになります。しかし、請負年度においてはソフトウェアは完成せず、翌年度になってから完成・引渡しが行われています。よって、初年度は仕掛品としての計上のみで、原価と収益の計上は翌年度ということになります。

 請負年度の仕訳
仕 掛 品 3,000 / 材料費他 3,000完成年度の仕訳
仕 掛 品 2,000 / 材料費他 2,000
(↑当期発生分)
売上原価 5,000 / 仕 掛 品 5,000
(前期仕掛品3,000+当期発生分2,000=5,000円)

割りと単純な感じです。ここで注意すべきは、実際の試験で作りかけのソフトウェアがいくつもあった場合なんかに、どれが当期に完成してどれが未完成のままなのか、きちんと分けてみなくてはならないことじゃないでしょうか?「ソフトウェアA」とか「B」とかごちゃごちゃしてたり、難しい問題だと完成基準のものと進行基準のものが混ぜてあったりするようなので、わかりやすい表とかが問題中の資料として記載されていなかったりしたら厄介な気がします・・・

工事進行基準による場合

次は工事進行基準による場合です。正直、こっちの方がより厄介であることは言うまでもないでしょう。この場合には、ソフトウェアの制作途中の各期末において、それまでの「進捗度」の応じて収益と原価を認識していくことになります。

こちらについても設例で確認していきましょう。

 当社は得意先からソフトウェアの制作を請け負った。請負金額は10,000円、各期の費用発生額は以下の通りである。

費用発生額
請負年度3,000円
翌 年 度2,000円

※工事進行基準に基づいて処理する

先程のものと同様の設例ですが、今度は請負年度から収益と原価の認識を行っていくことになります。

 請負年度の収益
10,000円×3,000円/5,000円=6,000円
∴売上高:6,000円
請負年度の原価
3,000円翌年度(完成年度)の収益
10,000円×5,000円/5,000円-6,000円(昨年度分)=4,000円
∴売上高:4,000円
翌年度の原価
2,000円

というような感じになります。注意すべき点は、2年目以降の計算をするときには一旦全部の発生原価で売上高を計算した後に、前期までの発生分を控除する。ということなんじゃないでしょうか?ここで変な方法をとってしまった場合、後々計算が合わなくなってくる可能性があります。

また、実際の試験は今回のような簡単な例ではなく、請負金額や見積原価が見直されたり、「工事損失引当金」を設定しなくてはならないような問題もあるかもしれません。そういった点については今度、「工事契約」についてまとめたときに確認しておこうと思います。

※工事契約について記事にしたらここにも貼ります。

まとめ

3種類ある制作目的別のソフトウェアについて、今回までで全部出尽くしました。どのタイプについても、頻繁に設例などを入れて確認しながら記載してきましたが、そんな簡単な例を作って覚えた気になっていると、本試験で痛い目を見そうなんで、徐々に難しい問題の方もやり直していこうと思います。

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