簿記試験対策「ソフトウェアの処理①」自社利用のソフトウェア

現在、企業は様々な「ソフトウェア」を保有し、事業の用に供しています。しかし、単にソフトウェアといっても、その目的は「研究開発用」かもしれませんし「自分とこの業務用」なのかもしれません。また、その製作を請け負ったりして外部に販売するためのものもあるでしょう。

で、そのソフトウェアの目的ごとに「収益との対応関係」が変化してくることから、ソフトウェアの処理に関してはどっから買ったか、とかそういうことではなく「製作目的別」に分けて処理することになっています。

ソフトウェアの「製作目的」は「自社利用」「市場販売」「受注製作」の3種類に分類されているようですが、今回はそのうちの「自社利用のソフトウェア」について確認していきます。残りの2つについては結構ややこしい処理で、しかも日商簿記2級では出題範囲じゃないらしいので、今回はパスして時間があるときにひとつづつ確認していくことにします。

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自社利用のソフトウェアとは?

自社利用のソフトウェアは、社内で使うソフト、例えば給与計算とか顧客管理とかそういったものでしょうか?そういったものを指します。で、このうち「将来の収益獲得や費用削減が確実なもの」を無形固定資産などとして資産計上し、その利用期間にわたって償却していくことになるんですね。

じゃあどういった場合に収益獲得や費用削減が確実になってくるのか?
平成10年3月の「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」では以下のような記載がありました↓

ソフトウェアを用いて外部に業務処理等のサービスを提供する契約が締結されている場合や完成品を購入した場合には、将来の収益獲得又は費用削減が確実と考えられるため、当該ソフトウェアの取得に要した費用を資産として計上することにした。

※中央経済社 編(2012)「会計法規集」63頁

と、いうことで買ってきたものであったりそれを使ってなんかやる契約が既にある場合には収益獲得、費用削減が確実なんですね。ただ、簿記の試験では、だいたい問題文に「確実である!」的なことが記載されているかと思うので、そこまで意識することでもないように感じます・・・

さて、収益等が確実に見込めるソフトウェアを取得した場合、主に「無形固定資産」の「ソフトウェア勘定」で処理することになります(機械装置とセットの場合もあるようです)。
例えば↓

 例)自社利用のソフトウェアを10,000円で取得した場合の処理

仕訳
ソフトウェア 10,000 / 現金預金等 10,000

これだけであれば簡単な話です。しかし、ソフトを購入したり、自作したりという場合には、メインの制作費以外にも様々な付随費用等がかかってくるはずです。これをどこまで資産計上し、どこから「当期の費用」とするべきなのでしょうか?それがわかっていないと「ソフトウェア」として償却していくべき部分の金額がわからなくなってしまいます。

 例)自社利用のソフトウェアを導入したら、諸々で10,000円かかった。

仕訳
ソフトウェア ??? / 現金預金等  10,000
当期費用部分   ??? /

これでは困ってしまうので、どれをソフトウェアの取得原価に含めて、どれを含めずに費用とするのかについて確認していきます。

 資産計上する部分としない部分

ソフトウェア関連の支出のうち、どれを取得原価に含めて、どれを当期の費用とするのか?このあたりは簿記の問題でもきっちり分けなければいけないような状況になっていることが多いように思えます。で、その問題ごとに、なんか文言に一貫性がないというか、どれがどうなっているのか迷うことが多いように感じます。

ということで、ここでは本試験で出題されて迷ってしまうことが無いように、「取得原価⇔費用」の違いを確認していくことにします。

まず、テキストとかに載っている判断基準ですが、

  • 導入した際の設定作業
  • ソフトウェア自体の仕様変更

などといったものを資産計上し、それ以外はその期の費用として処理する、となっているものが多いかと思います。具体的には「使えるようになるまでの費用は資産計上」とのこと。で、その後に出てくる「操作のトレーニング費用」とかそういったものは当期の費用とすることになるんですね。

もっと詳しくは以下の資料に載っていましたが、長くて難解な話なんで興味がある方のみご覧ください↓
会計制度報告委員会第12号 研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針

(クリックでpdfファイルが開きます)

減価償却と処分時の処理

さて、ソフトウェアも他の固定資産のように「減価償却」していく必要があります。その方法は、

  • 5年以内の期間で均等償却
  • 残存価額はゼロ

ということになっています。さらに、そのソフトウェアを0円になるまで使うとは限りません。途中で除却してしまったりすることも考えられます。そういったときには残存価額分の「除却損」を計上しなくてはなりません。

どちらもそんなにややこしい内容ではないので、簡単な設例で確認してみましょう↓

 当期首に取得した取得価額10,000円のソフトウェアについて償却を行う。
・償却方法:定額法
・見込使用期間:5年

仕訳

ソフトウェア償却 2,000 / ソフトウェア 2,000

10,000円/5年=2,000円

償却後のソフトウェアの帳簿価額:8,000円

 期首に取得した10,000円のソフトウェアを9月30日に除却した。
(会計期間4月1日~翌3月31日)
・償却方法:定額法
・見込使用期間:5年
仕訳
ソフトウェア償却  1,000 / ソフトウェア 10,000
ソフトウェア除却損 9,000 /

償却:10,000円/5年×6ヶ月/12ヶ月=1,000円
除却損:残存価額9,000円

実に普通な感じですが、やり忘れると大変なので、見つけたらすぐやっておく方がいいかと思います。あと、「除却」の問題についても、問題集なんかだとかなり頻繁に見かけるような気がします。もともと製品ライフサイクルが短いとされるソフトウェアについては、まだ結構耐用年数が残っているのに除却することが多くなる、ということで出題されやすいんじゃないかと予想しています(適当)。

まとめ

今回は3種類の製作目的に分けられているソフトウェアのうち、もっとも単純な「自社利用のソフトウェア」についてでした。ここまでは日商簿記2級でも出題範囲になっているとのことだったので、とりあえず最初に記事にしてみました。

※日商簿記2級の出題範囲の改正については以下の記事から↓
日商簿記 出題範囲改正で難化した?合格率は?

この後、残りの2種類についてもやっていこうと思いますが、かなり複雑な内容なので、また無駄に長い記事になってしまわないよう、要点をまとめる努力をしておきたいと思います。

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