簿記試験対策 社債の処理と買入償還

企業がその運転資金を調達する方法としては、銀行からの借入や株式の発行の他、その間をとるようなかたちで、社債を発行して不特定多数の投資家からお金をつめることも考えられます。で、この「社債」は発行した企業にとっては負債となり、クーポン利息があればそれを支払いますし、満期になったら額面金額で償還することになります。

で、社債を発行するときには額面そのままの金額で発行することばっかりじゃありません。
割引発行したり打歩発行したりということが考えられます。そして、このときに生じる差額を「償却原価法」を用いて処理していくことになります。

今回はそんな「社債」について、発行と償却原価の処理並びに満期を待たずに市場から買い入れて償還した場合の処理を確認していきます。

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社債の発行と償却原価法

まず普通に考えると、これって完全に「有価証券」の項目で出てきた「満期保有目的の債券」を、そのまま発行側の処理にしただけのことですよね。なので満期保有目的の債券の項目で償却原価法について理解しておきさえすれば、完全にその逆の処理をしていくだけで何とかなりそうです。反対に、こっちで先に覚えておけば、有価証券の問題で償却原価法が出てきたとしても、そのまま対応できそうですね。僕は無理でしたが…

※有価証券の処理に関しては以下の記事から↓
簿記試験対策「有価証券」~保有目的による種類分けと会計処理~

とはいえ、ここで何も確認しないわけにも行きませんので、「発行」「利息法の処理」「定額法の処理」の順にみていきましょう。

社債発行時の処理

社債の発行時には、実際に払い込まれた金額をもって「社債」として負債に計上することになります。また、このとき「社債発行費」即ち社債の発行に係る諸費用が発生した場合には、その部分を繰延資産として計上し、当該社債の償還期間と同様の年数で償却していくことができます。

社債発行費を含む繰延資産については以下の記事から↓
簿記試験対策 繰延資産の処理について

「社債発行費」の処理に関して「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」では以下のように述べています。

社債発行費は、原則として、支出時に費用(営業外費用)として処理する。ただし、社債発行費を繰延資産として処理することができる。この場合には、社債の償還までの期間にわたり利息法により償却しなければならない。なお、償却方法については、継続適用を条件として、定額法を採用することができる。

中央経済社 編(2012)「会計法規集」421頁

で、これについては「繰延資産」の範囲なのでまた今度、ということにして、以下では社債の償却について「利息法」と「定額法」に分けて確認していきます。

償却原価法:利息法

まずは利息法から、簿記の問題を解いていると、社債の利払は大体半期ごとになっています。よって、ここでも半期ごと利払があった場合の償却原価法の処理について設例を作ってみました。

設例

 当期首に、額面金額10,000円の社債を発行した。この社債の償還期間は3年、
発行価額は9,700円である。
・クーポン利息:年率1%
・実効利子率:年率3%(適当です)
・利払日:9月・3月末日
・会計期間4月1日~翌3月31日
 9月30日の仕訳
社債利息 146 / 現金預金等 50
/ 社   債 96
(社債利息=9,700円×3%/2=146円)
(クーポン利息=10,000円×1%/2=50円)
(償却原価=146円-クーポン利息50円=96円)3月31日の仕訳
社債利息 147 / 現金預金等 50
/ 社   債 97
(社債利息=9,796円×3%/2=147円)
(あとは同様)

みたいな感じです。有価証券の記事のときと同様、実効利子率の算出はちょっとアホには厳しいため、適当な数字を入れております。信用しないよう願います。

償却原価法:定額法

次は定額法です。こっちは償却原価分を期末にまとめて計上することになりますが、クーポン利息の計上を忘れないように注意しなくてはなりません。また、問題によっては「9月分のみ処理済」とかなっている場合もあるので、こちらも解く前に確認しておいた方が無難です。

設例

 当期首に、額面金額10,000円の社債を発行した。この社債の償還期間は3年、
発行価額は9,700円である。
・クーポン利息:年率1%
・利払日:9月・3月末日
・会計期間4月1日~翌3月31日※定額法を用いる。
 9月30日の仕訳
社債利息 50 / 現金預金等 50
(クーポン利息=10,000円×1%/2=50円)3月31日の仕訳
社債利息 50 / 現金預金等 50
(↑利息の処理)
社債利息 100 / 社   債 100
(↑決算時)

こっちは割りと単純です。普通に解答していきましょう。

途中で買入償還した場合

続いて本題の「買入償還」についてです。企業は自社が発行した社債を償還期限まで待って、元本と利息をきっちり支払わなくてはならないわけではなく、途中で市場から買い入れて償還してしまう方法を取ることも可能です。

そのようにした場合には、残りの期間分の利息を支払わなくてすむため、安く買い戻せた場合には企業にとっては有利な結果になります。借金の繰上げ返済みたいなもの、という認識でいいんじゃないでしょうか?ちがうかな?

で、買入償還をする場合にも「利息法」と「定額法」で処理の仕方が違ってきます、なのでこちらについても2つの処理方法について、それぞれ確認していくことにします。
なお、どのタイミングで買い入れるかによって利息の処理のめんどくささが変わってくると思いますが、今回はわかりやすく利払日での買入償還を例としていきます。

買入償還の処理:利息法

まずは「利息法」で処理している社債を買入償還した場合です。この場合には利払日=償還日であれば、ちょうどそこで償却原価分が追加されるため、当日に償還する分と継続する分を分けて処理することになります。このとき、償却原価法と償還の処理に気をとられてしまい、クーポン利息の処理を忘れてしまわないよう注意する必要があります。

では、早速さっきの設例と同じもので、途中で半分買い戻した場合の処理を確認しましょう。

設例

 当期首に、額面金額10,000円の社債を発行した。この社債の償還期間は3年、
発行価額は9,700円である。
・クーポン利息:年率1%
・実効利子率:年率3%(適当です)
・利払日:9月・3月末日
・会計期間4月1日~翌3月31日
※9月30日に社債金額5,000円分を4,700円で買入償還した。
 9月30日の仕訳(利息の処理)
社債利息 146 / 現金預金等 50
/ 社   債 96
(社債利息=9,700円×3%/2=146円)
(クーポン利息=10,000円×1%/2=50円)
(償却原価=146円-クーポン利息50円=96円)
9月30日の処理(買入償還)
社債 4,898 / 現金預金等 4,700
/ 社債償還損益 1983月31日の仕訳
社債利息 73 / 現金預金等 25
/ 社   債 48
(社債利息=4,898円×3%/2=73円)
(あとは同様)

こんな感じでやっていきます。簿記のテキストとかによると「期首の段階で償還分と存続分を分けましょう」みたいなことが書いてありますが、僕は利払日と償還日が同一の場合にはこっちでやってしまいます。それ以外の日に償還して、端数利息が生じてくるような場合には、仕方なく期首で分離させることにします…

買入償還の処理:定額法

続いて定額法です。こっちは半期で利払があって、その日に償却したとしても、そこでの償却原価法の適用がないため、めんどくさいですが期首に分けておき、償還する部分のみ、その日に償却原価を追加していくかたちをとります。

なお、分けるのは計算過程だけでのことで、実際の仕訳がどうこうということではないので、ここでは設例は端折ります。

 定額法の買入償還
例)10,000円の社債を5,000円分買入償還する。
・利払:9月30日と3月31日
・決算:3月31日
・買入:9月30日
・社債の発行価額:9,700円(当期首発行)
・社債の償還期間:3年

存続分買入分備考
期首4,8504,850
9/304,8504,875(償還)クーポン利息
3/314,900クーポン利息(半分)

あとは償還損益を間違えなければOKです。処理的にはめんどくさいですが、償還分をしっかり分けて計算していけば、最後に残ったものは普通に償却原価法を適用するだけになります。
(ちょっとだけ何とかなりそうな気がしてきました)

今回の例では買入日=利払日でしたが、こちらも変なとこで償還して端数利息が発生するような問題がくるかも知れません。しかし、表とかに書いてきっちりやっておけば普通に解答できる(ような気がする)はずです。

まとめ

社債の買入償還については、ここまでの内容であれば大丈夫そうですが、「定時なんとか~」みたいな変なやつが出てくると詰みます。

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